カント『道徳形而上学の基礎づけ』(大橋容一郎訳・岩波文庫)を読了した。 新しい訳ということもあって、語り口は明快。巻末の脚注と索引も丁寧で、哲学書としてはかなり親切なつくりだ。それでも、やはり後半は難解で、読み通すには気・・・
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完全義務と不完全義務〜カントとハーズバーグの構造的共鳴
カント倫理学における義務は、「完全義務」と「不完全義務」に分類される。前者は果たされなければ非難される類いの義務であり、後者は果たせば称賛に値するが、果たさなくても即座に非難されるものではないという義務である。 この構造・・・
賞賛ではなく、感謝を 〜カントとアドラーに学ぶ人間尊重の倫理
「褒めて育てる」「承認が人を動かす」 この考え方は、教育やマネジメントの現場で定着しているように見える。だが、相手を「褒める」という行為には、上下関係が前提となっているのではないか。それは本当に、相手を尊重していると言え・・・