戦火が鳴り止まない昨今の世界情勢を鑑みるとき、思い出す言葉がある。 「人間にとって必要なのは国家ではなく社会である」 これは田中芳樹のSF小説『銀河英雄伝説』に登場する主人公の一人、ヤン・ウェンリーの言葉である。虚構の中・・・
「カント」タグの記事一覧
知性の二重構造と両利き経営──AI時代における人間の知的役割とは何か
人間の知性は二つに分かれる。心理学者レイモンド・キャッテルはそれを「流動性知性」と「結晶性知性」として定義した。 流動性知性──未知に挑む思考力 流動性知性は、既存の知識や経験を使わず、未知の課題に柔軟に対・・・
善と幸福が重なるとき〜カント『道徳形而上学の基礎づけ』を読了〜
カント『道徳形而上学の基礎づけ』(大橋容一郎訳・岩波文庫)を読了した。 新しい訳ということもあって、語り口は明快。巻末の脚注と索引も丁寧で、哲学書としてはかなり親切なつくりだ。それでも、やはり後半は難解で、読み通すには気・・・
カント倫理学に学ぶ「意味のマーケティング」と著作権の本質
1. カフェにMacBookを開くという行為 カフェでMacBookを開いて仕事をしている人を見かける場面は多い。都市部のおしゃれなカフェでは、今もその光景が当たり前のように広がっている。Windowsのノートパソコンで・・・
なぜ“赤字でも社会貢献する企業”は尊いのか? 〜カントとパーパス経営の接点〜
日本の企業文化において、古くから「黒字の一部を社会に還元する」姿勢は美徳とされてきた。経団連が1989年に設立した「1%クラブ」はその象徴的な取り組みであり、企業が利益の1%を文化・教育・福祉などに寄付することを推奨する・・・
完全義務と不完全義務〜カントとハーズバーグの構造的共鳴
カント倫理学における義務は、「完全義務」と「不完全義務」に分類される。前者は果たされなければ非難される類いの義務であり、後者は果たせば称賛に値するが、果たさなくても即座に非難されるものではないという義務である。 この構造・・・
賞賛を求めぬ思想家たち——カント・ショーペンハウアー・アドラー
1. 賞賛を求めない善意思 「正しいことをする」。その一言は簡潔で美しく、誰の心にも響く。だが、実際には「評価されるから」「感謝されるから」「得をするから」行動している自分に気づくこともある。そこにふと立ち止まったとき、・・・
賞賛ではなく、感謝を 〜カントとアドラーに学ぶ人間尊重の倫理
「褒めて育てる」「承認が人を動かす」 この考え方は、教育やマネジメントの現場で定着しているように見える。だが、相手を「褒める」という行為には、上下関係が前提となっているのではないか。それは本当に、相手を尊重していると言え・・・
『カント入門』を読了 〜経営学にも応用可能なカント哲学の入門書〜
カントを読もうと思ったきっかけは、数年前にショーペンハウアーの著書・関連書籍を乱読していたことである。彼が自身の哲学をプラトンとカントという二つの柱の上に築いたと語っていたことが、昨年プラトンを読む動機となった。そして今・・・
善意思─信頼されるリーダーの倫理的基盤
「売名行為だ」と言われても 震災のたびに現れる善意の人々に対して、なぜか冷笑的な視線が向けられることがある。 東日本大震災の際、芸能界の中でもいち早く支援に入った杉良太郎氏は、「売名行為」との批判を受けたが、それに対して・・・

