戦火が鳴り止まない昨今の世界情勢を鑑みるとき、思い出す言葉がある。 「人間にとって必要なのは国家ではなく社会である」 これは田中芳樹のSF小説『銀河英雄伝説』に登場する主人公の一人、ヤン・ウェンリーの言葉である。虚構の中・・・
「日本一短い経営学」の記事一覧
カセットテープと人材育成──「転写」の効用をどう取り戻すか
昭和の時代、カセットテープを使っていた方なら、長年保存しておいたテープに「転写」が起こり、音質が劣化した経験をお持ちだろう。 テープに塗布された磁性体は、外部の磁力を容易に帯びるからこそ録音が可能になる。しかし長期間巻か・・・
生成AIでひらめく語源学習――難解単語を“既知の同根語”で腑に落とす
語源学習というと、多くの人は接頭辞・接尾辞に目を向けがちだ。 「re-は再び」「sub-は下に」「-istは人を表す」――確かに便利ではある。だが、学習が進むと接辞は“機械学習的”に処理され、見た瞬間「ああ、そういう意味・・・
『月の裏側』を読んでみた 〜レヴィ=ストロースが見た日本〜
お盆休み中。友人たちおすすめの『月の裏側』を読んでみた。 フランス構造人類学の巨人…クロード・レヴィ=ストロース。『野生の思考』『神話論理』で世界の構造を読み解いた彼が、晩年に“見えにくいけれど確かに存在するもの”として・・・
文明における普遍性を考える
宇宙にもし他の文明が存在するとしたら、その歴史はどのような過程をたどるのだろうか。 意外と似たような道筋を歩むのか、いくつかの類型に分かれるのか、それとも万華鏡のようにまったく異なる展開を見せるのか――答えは、まさに「神・・・
リアルとバーチャルの間の深い溝
お盆休み中、友人たちと交わした何気ないやりとりが、あらためて一つのことを思い出させてくれた。 人は、リアルなやり取りからこそ本当の動機づけを得る、という事実である。 AIと過ごす時間は確実に増えている。話題は豊富で、情報・・・
「民意の熱狂」の恐ろしさ 〜湯崎知事のスピーチから学ぶ〜
本日の平和祈念式典で、広島県の湯﨑知事が語ったスピーチは、すばらしい内容だった。 とくに印象に残ったのは、「民衆の高揚によって抑止が壊れてきた」という指摘だ。 これはけっして大げさな話ではない。知事が指摘された通り、歴史・・・
令和の海水浴はどこに向かうか
近年、海水浴離れが加速している。猛暑の夏であっても、海辺に人が集まらない。地方の観光関係者や海の家の事業者からは「昔はこんなもんじゃなかった」という声が上がっている。 単に気温が上がれば人が海にやって来る時代は終わった。・・・
チームみらいとは何か 〜新しい政党政治の提案〜
結党からわずか2か月。参院選で1議席を獲得し、国政政党の要件を満たした「チームみらい」。党首の安野貴博氏(34歳)は、「当選はゴールではなくスタート。ここからが本番だ」と語った。 30代のエンジニア出身者がゼロから政党を・・・
なぜ参政党は伸びたのか 〜2025参院選総括〜
私たちの日々のビジネスは、自由で開かれた市場と、法に基づく秩序があってこそ成り立っている。 その背後には、表現の自由、基本的人権、法の支配、そして平和という、民主主義の根幹をなす土台がある。これらは多くの場合「当たり前」・・・

