新任管理職研修で気付いた大きな発見
今回の管理職研修を行って、私を含め、受講者全員で整理できた発見がある。それは、優秀なマネジャーは「必要条件」だけでなく、「十分条件」まで満たしている ということだ。逆に、そうでないマネジャーは「必要条件」だけを満たしているにすぎない。
情報伝達の必要条件と十分条件
情報伝達には、以下の 「必要条件」と「十分条件」 がある。
● 必要条件(自分発想・自分の義務の履行)
【例】伝えた、指示した、教えた、言った、送った
これは、「自分は説明した」「自分は伝えた」といった、義務を果たしたという認識を持つ段階である。しかし、これだけでは、相手に意図が正しく伝わっているかどうかは不明であり、コミュニケーションとしては不十分だ。
● 十分条件(相手発想・相手の納得や理解を伴う)
【例】理解してもらった、わかってもらえた、受け取ってもらえた、聞いてもらえた、了承してもらった
「伝えた」ことだけに満足するのではなく、「相手が理解し、納得し、行動につながる状態を作る」ことが、優れた管理職には求められる。
「説明をした」と「相手が納得した」は全く別物
「説明をした」ことと、「相手が納得した」ことは本来まったく異なるにもかかわらず、多くの場合、これらを同じものとして扱ってしまいがちだ。
- 「説明をした」 → 自分が義務を果たしたという段階(比較的低次)
- 「(相手が)納得・理解した」 → 相手の了承を伴う、より高度な段階
コミュニケーションの本質は後者にある。相手が理解し、納得し、実際の行動につながるような伝え方ができるかどうかが、管理職の能力を大きく左右する。
伝わるコミュニケーションが優れた管理職を作る
本当に優れた管理職は、ただ指示を出すのではなく、「相手の理解度を確認する」 ことを重視する。
たとえば、説明後に「この説明で意図は伝わっただろうか?」と確認したり、相手の反応を観察しながら補足説明を加えることで、理解のズレを防ぐことができる。
これは単に言葉を尽くすことではなく、「相手が理解し、行動につながる状態をつくる」 という視点を持つことが重要だ。
管理職の役割は「相手を動かし、組織の成果を生むこと」であり、そのためには 「伝える」だけでなく、「伝わる」ことを実現する 必要がある。新任管理職の人たちには、この視点を常に意識してほしい。