このブログシリーズでは、私がプラトンの著作に挑戦し、その哲学を現代社会でどのように応用できるかを探ります。古代ギリシアの偉大な哲学者プラトンの思想は、政治、倫理、教育をはじめ、日常生活にも数多くの示唆を与えており、彼の著作を丁寧に読み解き、各作品が持つ普遍的なテーマを探求していきます。
私がプラトンの著作に取り組むことになったきっかけは、山口周氏の著書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』でした。この本では、グローバル企業のリーダーたちが、美意識や芸術的感性を磨くことが今後の経営において不可欠であると論じられています。これを読んで、経営コンサルティングにおいてもファインアーツに対する深い知識と教養が求められる時代が来ていると実感しました。プラトンの哲学は、美と善に対する深い洞察を提供してくれるものであり、彼の著作に取り組む決意をしました。
さらに、ホワイトヘッドが『過程と実在』(1929年)で述べた「ヨーロッパの哲学的伝統はプラトンへの一連の脚注に過ぎない」という言葉が、プラトンの哲学が西洋思想に与えた影響を再認識させました。
また、プラトン哲学への興味をさらに深めるきっかけとして、ある企業の従業員向け読書会でファシリテーターを務めたことも挙げられます。この読書会で扱ったショーペンハウアーの『読書について』は、私を哲学的探究に引き込みました。その後、彼の主著『意思と表象としての世界』に挑戦しました。この大著の読破には半年以上かかり、その難解さに圧倒されましたが、彼の哲学がプラトンとカントの影響を強く受けていることを知り、私もプラトンの思想に取り組む決意を固めました。
ただし、全集を読む時間は限られているため、今回は岩波文庫に収められている主著に限定して読み進めました。最初に再読したのは、学生時代にも読んだ『ソクラテスの弁明』や『クリトン』です。これらは数年前に別の読書会でも取り上げられており、馴染みが深いものでした。続編ともいえる『パイドン』や『饗宴』、さらには『国家』にも取り組みましたが、特に『国家』と『法律』は非常に難解で、読了には多くの時間を要しました。
理解を深めるために、藤沢令夫先生の解説やウィキペディア、そして岩波書店の『哲学・思想事典』を活用しました。さらに、ChatGPTも非常に役立ちました。ChatGPTを通じてプラトンやソクラテスの問答法をシミュレーションし、より深い理解を得ることができました。
このブログでは、岩波文庫に収録されたプラトンの著作を中心に、それぞれの作品の要約や解説、現代社会への応用、関連書籍の考察も含めて紹介していきます。プラトンの哲学は単なる過去の思索ではなく、現代においても非常に重要な示唆を与えてくれるものです。
これからプラトンを読みたいと考えている方には、まず『ソクラテスの弁明』や『クリトン』から読み始めることをお勧めします。続いて『パイドン』や『饗宴』を手に取り、最後に大著である『国家』に挑戦してください。いきなり原著に挑むのではなく、まずは新書サイズの入門書を1~2冊読んでから進めると良いでしょう。
おすすめの新書判の解説書としては、藤沢令夫先生の『プラトンの哲学』、中畑正志氏の『はじめてのプラトン』、斎藤忍随氏の『プラトン』、納富信留氏の『プラトン哲学への旅』、竹田青嗣氏の『プラトン入門』があります。また、プラトンの師であるソクラテスについては、田中美知太郎氏の『ソクラテス』が理解を深める助けとなるでしょう。
プラトンの対話篇は一度読んだだけでは理解が難しいことが多いですが、何度も読み返し、考え続けることでより深い理解が得られます。私自身も、今後これらの著作を再読し、さらに深い洞察を得たいと考えています。
次回からは、プラトンの主要著作について具体的に解説していきます。まずは『ソクラテスの弁明』を取り上げ、彼の哲学の核心に迫っていきます。どうぞお楽しみに。