読了!

「気づきがあった」「学びがあった」などと一言で済ませることができない密度の高い一冊である。

購入して2週間。
ずっと読みたかったのだが、師走は収録シーズンの最盛期で、仕事に関わる文献の購読で手一杯だった。
今夕方、「企業経営理論」の収録がようやく終わり、読み始めて、今に至る。

本書は、文章の作法から始まり、その後、段々と論点が「メタ」化し、文章の構成術にまで話が及ぶ。
この独特の構成に引き込まれる。

私だったら、同じテーマで書けと言われたら、まず文章の構成術から入り、後半で、各論として文章の作法の話を扱う。

しかし、これではダメなのだ。

文章の作法という身近なテーマからスタートするからこそ、ハードルが低いのである。
次々と繰り出される「明日からできそう!」な実践的な小技(「編集の文法」)の連打が読者を引き込む。

「できそうだな」と思えるゆえ、次のページのノウハウも学びたくなる。徐々に難しい話になっても、芽生えた「欲」が読者の背中を後押ししてくれるのである。

大上段に文章の構成術から入ったのでは、読者は、目次を見ただけでドン引きしてしまう。論文やレポートの指南書の多くはこのパターンで失敗している。

本書はこの点で大違い。
素晴らしいストーリー展開、見事な構成である。

文章のタイトルや見出しの付け方についても具体的な提案があるのは助かる。
ロジカル・シンキングやカスタマー・ジャーニーに関するシンプルな解説は、論理学やマーケティングの権威の著作よりはるかにわかりやすい。

最終章も参考になる。新進気鋭のメディアの騎手たちが描くコングロマリット型文章メディアの未来像を知ることができるからである。

この勢いで、書評を書きあげたいところだが、明日、寝坊するわけにもいかない。
グッとこらえ、後日の楽しみとしたい。