一昨日、友人のマーケティング・ワークショップ(「マーケ飲み」)に参加。

丁度、新入社員研修ということもあり、わかりやすく、なじみやすく、いろいろな概念を噛み砕くための方法論を模索中だった私にとっては、とても刺激的な学習機会になりました。

今回の講義では、講師役の友人が、段階欲求説を身近な事例に置き換えてうまく説明されていたのですが、私もやってみたくなりました。

で、講師の顔を見ながら、かつ、話を聴きながら思いついた素材は、「G」だったわけです。「G」ですよ。「G」。

というわけで…今日のお題は

「『機動戦士○○』で学ぶマズローの欲求段階説」

であります。
それでは、説明、いきま〜〜〜〜〜す!

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欲求段階説というのは、行動科学におけるモチベーション論の始祖エイブラハム・マズローが唱えた、人間の欲求には段階があり、下層レベルの欲求が満たされるたびに、次第に高次の(レベルの高い)欲求が顕在化していくという「仮説」です。
誰も検証していないのですが、その後、世界中に広まった学説です。

マズローの教え子たち(マグレガーだのアルダーファだのハーズバーグだの)の学説は、ある程度実験により実証されたものもあります。有名なのは、ハーズバーグの二要因理論。これは私もコンサルでよく意識するフレームワークです。

マズローの学説は、仮説のまま終わっていますし、批判も多いのですが、わかりやすいという一点において卓越した存在だと想います。
では、この5つの欲求のレベルを低次のレベルから順に、「軍隊における例」をあげつつ、解説させていただきます。

1.生理的欲求
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人間の欲求の中でも最下層の欲求。
これに不満があると、まともな軍隊の状態ではいられなくなるのは当たり前。暴動になります。
たとえば、兵士が、

「戦いが終わったら、ぐっすり眠れるって保証はあるんですか!」

などと上官に食って掛かる状態は、生理的欲求が満たされていない状態だといえる。

2.安全欲求
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生命あるいは身体の安全を確保しておきたいという欲求。転じて、ビジネスの世界では、財産の安全に対する欲求を含む場合もある。
軍隊においては、非常に重要な欲求である。司令官は可能な限り、自軍の安全性を確保しつつ作戦を立案・遂行しなければならないのは当然のことである。
たとえば、兵士が

「だけど、 怖いのもうやなんだよ!」

と口に出すということは、その兵士が、安全欲求に不安を感じている状態の典型である。

3.社会的欲求
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誰かと一緒にいたい、組織の一部として必要とされたい…といった欲求。
マズロー先生によれば、安全欲求が満たされると顕在化するという(ま、実証研究ないんですけどね)。
たとえば、兵士が、

「ごめんよ、まだ僕には帰れる所があるんだ。こんな嬉しいことはない」

などとつぶやくのは、社会的欲求が満たされていることの証拠といえよう。

4.自我欲求
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いわゆる承認欲求。前項の社会的欲求は「所属さえできればよい」「みんなといっしょにいたい」という欲求であったが、これが満たされると、人間、贅沢になり、「どうせ所属するなら、褒められたい」「他の人より認められたい」「他のメンバーから感謝されたい」といった欲求が生じてくる。
別名「自尊の欲求」とはよくいったものである。
軍隊の場合でいえば、たとえば、戦友の死に対し、軍上層部が二階級特進という形式的措置で報いようとしていることに逆上し、

「そ、それだけ、なんですか? (中略) に、二階級特進だけで、それだけでおしまいなんですか? (中略) 戦っている時はなんにもしてくれないで、 階級章だけで。 (中略) ありがとうの一言ぐらい」

と当たり散らして、修正される兵士は、自我欲求が強い…と考えるべきであろう。

5.自己実現欲求
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人間、褒められまくり、認められまくると、だんだんそれにも飽きてくるものである。
マズロー先生によれば、前項の自我欲求が満たされると、今度は、自分のために黙々とその道に突き進んでいきたいという自己実現欲求が顕在化するという。
たとえば、

「くやしいけど、僕は男なんだな…」

などとつぶやきながら、兵士が自ら志願し、敵地に乗り込もうとする時に顕れている欲求がこれである。

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以上です笑

「それは理屈だ!」

という方もいらっしゃるでしょうが、

「しかし正しい物の見方だ」

という意見もあるということで、お許しを♡m(_ _)m

さて、今回のマーケティング・セミナーでの最大の発見は、
マーケティングを「市場最適化」と定義し、その「最適化」のためのツールに、行動科学のフレームワークであるマズローの欲求段階説を使うべきだ…というお話でした。

つまり、クライアント(社長や営業部長、営業スタッフの方々)と、

① 縦軸に顧客のカテゴリーを列挙しつつ、
例:20代女性、30代女性、40代女性、50代女性、60代以上女性

② 横軸に欲求段階説の5つの段階を列挙し、
例:生理、安全、社会、自我、自己実現

表を作るわけです。
この表の各セルを埋めながら、自社・自組織において、どのセルが一番重要か、ブルーオーシャンとなるか…を考えていくという発想を思いつきました。

たとえば、

「20代女性の安全欲求を満たすために、我が社がやるべきことは…」
「それはあまり重要じゃないよ。うちは若い女性の自我欲求実現のために○○するのが得意な会社じゃないですか」
「じゃあ、20代・30代の女性の自我欲求を満たす商品やサービスについてアイディアを出そう」

といった会話が成立するだろうという予想です。

上記の例であれば、縦軸に女性の年齢で5つの層があり、横軸に、5つのレベルの欲求をとることができますから、

5×5=25

のセルが設定できる。

このなかで、どこを攻めるか、どこを捨てるか…という議論は、結構おもしろいと思うのですよ。
(直接自社の商品・サービスのどれを売るかという話ではなく、どういうレベルの欲求に対応できるか…という話は新鮮ですからね。)

25個のセル全部を攻略するのではなく、どこにどう絞り込んでいけばよいのか、論理的に話し合うための道具の一つにできるのではないかと感じました。

活用させていただきます!!