4.自分磨き(修養)の重要性
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渋沢は、明治時代のスローガン「富国強兵」「殖産興業」の代表的な推進者です。
特に、富国=「豊かさ」=経済力の強化は、明治日本の不可欠な課題であると指摘しています。
これは、豪農の倅として生まれ、金に困ることなく、最高の教育を親に受けさせてもらうことができた渋沢ならではの発想ではないかと思います。

一方、渋沢は人を評価する基準として、その人が金持ちか貧乏か、成功者か失敗者か、勝ち組か負け組か…を用いることを否定しています。
彼が尊敬する孔子は、経済的な成功者だったわけではないですし…
彼は、人を評価する基準は、「精神と効果」であるとしています。

渋沢は、修養…自分を磨くことが大切であると再三述べています。
これにはゴールがなく、再現がないともいっています。
これは、マズローの5段階欲求説とよく似た考え方です。

① 生存欲求
② 安全欲求
③ 社会欲求
④ 賞賛欲求
⑤ 自己実現欲求

マズローは上記5つの欲求を提唱しましたが、最高段階の欲求である自己実現欲求には際限がないことになっていますものね。