どなたが本家かわかりませんが、手帳には「MY締め切り」を設定すべきだというノウハウは、数冊の手帳指南書に掲載があります。
「MY締め切り」とは、本来の締め切り日時よりも手前の日時に、戒めの意味で設定する締め切りのことです。原稿の締切り(本来の締切り)が、12月25日だった場合に、24日の夜に慌てて作業しないよう、本来の締切りより手前である12月20日に「MY締め切り」を設定しようという考え方です。MY締め切りを遵守すれば、原稿は余裕で仕上がり、関係者の誰にも迷惑をかけることなく、また、自分の信用に傷をつけることなく、執筆を終えることができるというメリットがあります。
これまた、社会人1年生だったら「なるほど」と思うかもしれませんが、やってみるとほとんど「MY締め切り」は機能しません。
人間、そんなに強い動物ではないということです。甘えが生じ、真っ先にMY締め切りを破ってしまいます。「まだ5日ある」という悪魔の囁きは強烈です。
つまり「MY締め切りの設定」というのは、ノウハウでもなんでもなく、単なる精神論です。手帳の指南書を読み進めていくと、残念ながら精神論が多いことに気付かされます。

① 1日に手帳を最低8回読むようにしよう
② 図解化しよう
③ 5W2Hに留意しながら記入しよう
④ 自分時間を確保しよう
⑤ 手帳を見て自らの行動を振り返ろう

各々、確固たる方法論が添付されていればいいのですが、そういう書籍は残念ながらとても少ないです。④の自分時間の確保。理想ですが、それができないから困っているわけですよね。「MY締切りの設定」もこれら、①〜⑤と同じ、精神論に過ぎません。

①についても、これだけだと単なるお題目(精神論)ですが、iPadなどが載せられるような卓上イーゼルを用意し、出社したら、自分のデイリー頁を開き、卓上イーゼルに載せ、1日の作業を開始する…というアイディアであれば、実現可能性は高くなります。
常に、見開き状態になった手帳が机の上にあるわけですが、それを見ながら(このページに、今日の予定、今日のTODOリスト等が入っていると仮定しますが)、抜けや漏れのない1日を過ごすことができる可能性があるわけです。手帳の活用法というのは、これくらい具体化しないと、皆、精神論に終わってしまいます。

MY設定の締め切りとよく似たノウハウに、「仕事には3回アラートを設定する」というものもあります。納期が12月25日だった場合に、前日の24日、1週間前の18日、さらに1週間前の11日にアラートを設定するという方法です。紙の手帳であれば、24日、18日、11日に、業務名とともに、「納期間近!!」と書き込んでおけば、3回アラートを設定したことになります。これも精神論。5回ではなく、2回ではなく、3回がちょうどよいという根拠もどこにもありません。