多くの手帳は、イヤリー頁、マンスリー頁、ウィークリー頁、デイリー頁のうち、2つ以上が併用で販売されています。中には、3つ以上が併用されているものもあります。
昔から、常に疑問に思うのは、「2つないし、3つ以上のカレンダーを併用している人がどのくらいいるのか」という点でした。
私の周囲にいる方々に聞いてみると…

① イヤリー頁、マンスリー頁の2つが併用になっている場合、多くの方はマンスリー頁のみを使っている
② マンスリー頁、ウィークリー頁の2つが併用になっている場合、多くの方はウィークリー頁のみを使っている
③ マンスリー頁、ウィークリー頁、デイリー頁の3つが併用になっている場合、多くの方はデイリー頁のみを使っている

という場合が多いようです。
結局は、その手帳のメイン部分に該当する「最小単位の頁」を使っているだけで、それ以外の頁は空白になっている場合が一般的です。
中には、複数ページを使いこなしているという強者もいますが、片方の頁をメインで使い、もう片方の頁は極めて補助的な使い方をしている…という方がほとんどです。

複数頁を併用しようとする場合、最大の問題は「転記の手間」と「転記忘れのリスク」です。
ウィークリー頁とデイリー頁を併用し、スケジュール管理する場合、あるイベントが予定されれば、メインとなるデイリー頁にイベントの「詳細」を書き込みつつ、ウィークリー頁にもイベントの「概要」を書き込まなければならなくなります(ウィークリー頁欄は欄が狭いので、イベントの「詳細」は書くことができず、「概要」しか書けません)。
忙しくて、片方にしか書き込まなかった…ということが起これば、両カレンダーの「同期」は破綻し、非常に信頼性の低い手帳になってしまいます。
このため、多くの指南書では、複数頁の併用・活用について別な提案されています。

① イヤリー頁やマンスリー頁は、細かいスケジュール管理に用いるのではなく、年間や月間を通じて、重要なイベントのみを記入する
② イヤリー頁やマンスリー頁は、いろいろなことを書き込むスペースはないので、特定のテーマについてのみ書き込み、当該テーマの長期的な流れを掴むために活用する

といった提案です。
①については、わからなくもないですが、なくてもよいのではないかという気もします。「点と流れを把握し、頭の中を整理整頓してクリエイティブにするため」といった説明がなされている書籍もありますが、どうも抽象的であり、併用の意義がはっきりしません。
②については、存在意義は理解できます。私は登山を趣味としていますが、年間の予定から、登山の予定だけを抽出し、「年間登山カレンダー」を作成することを進めてくれているわけです。
今後の登山の予定が1件しかなかった…ということがわかれば、「ああ、少し仕事に埋没しすぎだな。リフレッシュのためにもう少し登山の計画を建てるか」という方針を建てることができます。
しかし、だとすれば、1冊の手帳にイヤリーカレンダーは数セットあってしかるべきです。登山以外に、私には「マラソン」という趣味がありますが、マラソンの年間のカレンダーを作ろうとしても、現行の殆どの手帳にはそのスペースはないわけです(現在、このニーズに対応できるのは、リフィルが自由に差し替えられるシステム手帳だけです)。
例として趣味の話を出しましたが、2つ以上のプロジェクトを並行して進めている方の場合、ウィークリー頁やマンスリー頁といった長期的「俯瞰」が可能な頁は「2つ以上」なければならないわけです。
ですから、そういう手帳が一般的でないにもかかわらず、

② イヤリー頁やマンスリー頁は、いろいろなことを書き込むスペースはないので、特定のテーマについてのみ書き込み、当該テーマの長期的な流れを掴むために活用する

という提案をするのは、無責任です。私なら、テーマ別に長期計画を建てるために、イヤリー頁・マンスリー頁が複数付録されているウィークリー頁を主体とした手帳の開発を提案します。既存の手帳を無理やり使うことを求めるのではなく、製品そのものの提案をしてしまったほうがおもしろいです。