京浜東北線の帰り道。
頭のなかで今夜の雑サロの内容について再吟味してみました。
1.最良のファシリテーションとは
==================
非常に印象に残っているのは、
「最良のファシリテーションとは、一見すると、メンバーをコントロールしていないようで、実はしっかりとコントロールしているというファシリテーションではないか」
というご意見でした。
自由自在に世界を飛び回っていたつもりが、実はお釈迦様の手のひらの上だったという『西遊記』の主人公…斉天大聖・孫悟空の話を思い出します。
なるほど!…と思う一方で、そうはいってもそういう理想的なファシリテーションはなかなか実現が困難ではないか…とも思いました。
2.「飛行機型ファシリテーション」の限界
======================
しかし。
みなさんと雑談を進めるうちに、頭の中が徐々に整理されてきました。
要するに…
メンバーの一言一言に右往左往して、都度、方向転換やら微修正やらを繰り返そうとするファシリテーターでは、だめだということですよね。
常に操縦桿を握って、臨機応変に対応するスタイル…まるで、飛行機のパイロットのようなファシリテーションです(あ、現代の飛行機は、自動運転が可能なのでしょうが、その話は置いておきましょう)。
これは、一見かっこいいですが、ものすごく、エネルギーを使うファシリテーションです。
力量のあるファシリテーターが、全身全霊をこめて、行わなければいけない。
「楽」ができないわけです。
しんどいから、長続きしない。
共有化も標準化もできない「離れ業」。
いわゆる、「飛行機型ファシリテーション」…これではだめなんですよね。
3.「ロケット型ファシリテーション」ノススメ
=========================
そうではなく…
事前に、しっかりと参加者の情報をとり、彼ら一人一人が、どういう気持で参加し、どんなニーズを持って参加し、どんなテンションで参加し…という準備(情報収集)をして臨むファシリテーションは、当日、それほどアクロバティックに、軌道修正をする必要がありません。
事前準備というのは、情報収集だけではなく、机の配置、ネットにつないだパソコンとプロジェクターの準備、参加者用ホワイトボードの準備等も含みます。場合によっては、音楽や飴玉・飲み物の準備も含まれるでしょう(環境整備)。
そしてまた、前日の準備だけではなく、当日のオリエンテーション…今日のワークショップ・会議・研修等を受けるにあたり、参加者の方々がいかにリラックスして参加できるかを丁寧に説明する時間も含まれるわけです。
事前に参加者への取材・面談・アンケート等が行えなければ、当日の冒頭でアンケートをとってもよいわけですよね。
「今日何を学びたいと思ってお越しになったのか」
「今日どんな話をみんなとしたいと思ってお越しになったのか」
「ファシリテーターやインストラクターに要望はないか」
これらの情報が、できれば事前に、最悪でも当日の冒頭に、知り得ることができれば、当日のファシリテーションは、ぐっと「楽」ができるようになります。
一手間増えますが、当日は楽ができる。
料理でいう下ごしらえといっしょです。
そして、これは、ファシリテーターの力量の問題ではないので、誰でもできる。
共有化も標準化も可能な方法です。
これすなわち、「ロケット型ファシリテーション」ですよね。
軌道計算・弾道計算をしっかりとやってから、発射し、発射したあとは、軌道修正はしない(できない)わけですから。
4.ファシリテーションにおける「備えよ常に」
=========================
ボーイスカウトやガールスカウトのモットーに
「備えよ常に」
という一節がります。
講義や講演・研修におけるインストラクションでは、よく引き合いに出されるモットーです。
しかし、このモットー…考えてみると、ファシリテーションにおいても当てはまるのではないでしょうか。
「ファシリテーションにおいては、コーチングの技法がそのまま転用可能である」
という話を、先週ならびに今夜のサロンで申し上げましたが、コーチングの基本も
「事前準備(情報収集と環境整備)」
ですよね。
フォロワー(クライエント)がお越しになったあとにあたふたするようでははコーチ失格です(*^^*)。
ファシリテーターもまったく同じではないか…という気がいたしました。
細かい技法の話もおもしろいと思いましたが(私自身、いくつか情報提供させていただきましたし)、やはり、何事も「本質」が大切。
ファシリテーターに最も重要なのは、
「事前準備(情報収集と環境整備)」
ではないかと実感いたしました。
5.「至高のファシリテーション」を求めて
=========================
始まってから都度軌道修正する「飛行機型ファシリテーション」ではなく、始まる前にきっちりと弾道計算を終えてしまう「ロケット型ファシリテーション」こそ、
「最良のファシリテーションとは、一見すると、メンバーをコントロールしていないようで、実はしっかりとコントロールしているというファシリテーションではないか」
という方向性の具体的な姿であるように感じます。
あ! そういえば…
明後日は、私の友人主催の「NLP&コーチング雑談会」に出席するんですが、その際にも皆の意見を聞いてみようと思います(*^^*)