企業が大きくなると、メジャーな事業部門とマイナーな事業部門が一つの法人の中に同居するようになります。
この時、ついつい、メジャー事業部門はマイナー事業部門を軽視しがちです。
「奴ら、何やっているんだ」
「会社の利益を支えているのは俺達だ」
「あいつらはお荷物集団」
新規事業部、社内ベンチャーといわれる組織は、総じて、売上専有比が小さく、マイナー事業部門としての存在を余儀なくなされます。
彼らに対して、既存の事業部門は、温かい目で見てくれる場合もあるでしょうが、多くの場合、冷ややかな視線が浴びせられるものです。
一方、マイナー事業部門のほうでも、壁を作ります。
「メジャー事業部門の奴らに俺たちの気持ちはわからない」
「どうせ、わかってもらえない」
「評論家的な意見、外野のような無責任な意見はお断り」
こうして、2つの事業部門はだんだん溝を深めていくわけです。
そういう場合、私は、
「歩み寄ろうよ、お互いに!」
と申し上げることが多いのですが、子供の喧嘩ではありませんから、そう簡単に打ち解けてはくれません。
非常に長い時間がかかります。
なかなか、お互いに歩み寄ろうとはしない…
まるで、薩長連合成立時のときのように、もどかしい時間がどんどんと流れていくわけです。
で、
最近は、マイナー事業部門の皆さんに、
「いつまでもひねくれていないで(言葉はもうちょっとやわらかいですが)、こちらから、あゆみよってしまいましょうよ。これも一種の社内営業!」
と、声をかけるようにしています。
下記は、ある企業で提案申し上げた社内営業の具体論の一例です。
==========================
社内営業・社内における相互理解促進の他社の事例
==========================
1.短期社内留学
事業部門の間での短期(3日〜2週間程度)の社内留学制度を構築する。
留学は、若手のみならず、ベテランも対象とする。
できれば、マネジャーから順に受けさせるのがベストである。
社内研修・階層別研修の一環としてしまうと、実効性が高まる。昇格要件に加えても良い。
(【例】□□課長は、今日から2週間は◎◎事業部を経験する)
2.社内雑談機会づくり
昔のようなレクレーション機会ではなく、ビジネス雑談機会を設定する。
「ランチタイムにうちのメンバーと食事しませんか?」というような社内営業を。
3.研究成果発表会
自部門主催の研究会を立ち上げる。
ポイントは発表会の実施。全社に向けて、社内営業し、自部門の研究の成果を知っていただく。
「うちのチームで今回◯◯をテーマに研究発表会を行います。興味のある方はお越しください」
(トップや上司の許諾が得られれば、この研究会には、各部署から最低1名の出席を…と義務化することができる)
4.新人研修
新人が入ってきたら、かならずX新規事業部を経験させる。
レポート化し、彼らが配属された後、自己紹介とともに、X新規事業部での経験をレポートに従い、発表させる。
(既存事業部のメンバーも新人になら耳を傾けやすいため、情報が社内に伝わりやすい。いわば、新入社員を媒介にした社内営業の実施である)
5.社内イベント引受法
本来、総務や人事部、メイン事業の事業本部が行うべき社内イベント(忘年会、餅つき等)を新規事業担当者が引き受ける。
(全部引き受けると負担になるので、「私がリーダーになるから各部署から応援お願いします」が現実的→このイベント実行委員会がちょうどいい「社内情報交換会」になる)
6.社内横断型の事例発表の際への配慮
「この事例は、◯◯事業部の☓☓推進にも応用できると思います」といった聞き手の他事業部のメンバーにも役立つであろうポイントを明確にしながら事例発表を行う。
これに心がけないと、「自分と関係のない事業部の話を聴く時間は無駄」という風潮が広まり、会議や発表の場そのものがなくなってしまうおそれがあるためである。
社外営業にかける情熱と配慮はとても重要!
しかし、これからの企業は、それと同じくらい社内営業についても考えていく必要がありますね。
キーワードは「恩義」。
マイナー事業部門の成長性を「見せる」ことはとても重要だと思います。
「ご安心ください。私たちは、将来、他の事業部門(現在のメジャー事業部門)を牽引できるくらいまで成長しますよ!」
「社内イベントや嫌われ仕事を引き受ける→メイン事業部の皆さんのお手伝い、私達もしていますよ!」
これを理解していただくための活動は、やっぱり忘れてはいけませんよね。