皆さん、こんにちは。
本日は今年2回目の昼のビジネス雑談サロン(通算117回目)を開催。
その後、メンバーのお一人と商談。
私としては珍しいセミナーの企画についてのアプローチをいただきました。

セミナーのプログラム・コンテンツをいろいろお話させていただいたのですが、

「すごいですね。こういった楽しいコンテンツはどうやって生まれてくるんですか」

というご質問をいただきました。

答えは1つ。

「これはもう震災を契機に私自身が食わず嫌いだったSNSの世界に足を踏み入れたことが最大の契機になりました。今日で通算117回目になるビジネス雑談サロンで学んだことが本当に大きいですよ」

これに尽きます。

基礎法学の用語に、

「元物と果実」

という用語があります。

「元物」とは、法律でいう果実(収益物)を生み出すもとになるもののことで、たとえば、牛乳を産出する乳牛、地代を生む土地などが該当します。

「果物」とは、ある物(元物)から産出される収益物のことで、穀物・羊毛・牛乳などの天然果実と、利息・地代・家賃などの法定果実とがあります。

民法89条だったかな。条文もありましたよね。

で。
私にとっては、SNSの世界そのものがいわば「間接的元物」となっており、「ビジネス雑談サロン」や「名著を読む会」あるいは「Gの会」などのオフ会が「直接的元物」になっています。

これらの「間接的元物」「直接的元物」から、「果実」としての

「コンサルティング・コンテンツ」
「セミナー・研修・講演のコンテンツ」
「新たなプレゼンテーション手法」

が生まれてくるのです。

回数的に一番たくさん参加している(主催者ですし、当たり前ですが)、「ビジネス雑談サロン」から、どれだけのコンテンツが生まれたのか計り知れません。
また、中小企業診断士としての直接的な知識や情報を与えてくれたのは「名著を読む会」でした。毎月第三日曜日に学んだ事項の質量は実に膨大なものになります。
「Gの会」では、「これから試してみたいプレゼンテーション」をいろいろと試させていただきました。動画や音声、Businessの現場ではそぐわないくらいの大胆なスライドの構成などは、すべてこの会のおかげで経験できたものばかりです。

主催者やメンバーの皆様には、この場を借りて本当に御礼申し上げたいと思います。

さてさて。
そんなこの2年半の間に、それらの会を通じて、私自身が学んだことは、なんといっても、

「時間創造」

の重要性でした。

ただでさえ忙しいビジネス・パーソンに、

「チェンジ・マネジメント! 変わりましょう!!」

というのは簡単です。

私を含め、たいていのコンサルタントは、

「変革の重要性」

を熱く語りますからね。

その必要性、効果、メリット、リスク… 丁寧に話してくれるはずです。
そればかりは、さまざまな方法論を話してくれるに違いありません。

しかし。

「それでも、変革できません」
「わかっちゃいるんですけど、変われないんです」

というクライアントが後を絶たない。

研修や講演、セミナーで感銘を受けてくださったにも拘らず、その後、お会いしてみると、

「元の木阿弥」

に戻ってしまう方がほとんどです。

なぜ、こうなってしまうのでしょうか。

最近になって、ようやく私も理由がわかってきました。
要するに、

「変革のために一番大切なもの」

の存在が抜けてしまっているのですよ。

意思? 努力? 人材? 能力? やる気? ノウハウ? お金??

いやいや。
違いますよ。

それは、

「時間」

なのです。

「新しいものを試す時間がない」
「新しいシステムを導入する時間がない」
「新しいものにトライする時間がない」

その連続なのです。

先日、こういう会社に出会いました。
その会社では、今までに私の前に、

「10人の業務改善・組織改革のコンサルタント」

に入ってもらって、いろいろなことを学んでいました。
大変有意義な研修や講義が続いたそうです。会議でもさまざまな有益なアドバイスを受けたそうです。

でも、何一つ、組織として導入できたことがないというのです!!

「学びはしたが、実践はできなかった」

わけです。
理由を伺うと、

「いろいろ学んだが、忙しくて試す時間がない」

とのことでした。

「で、私にどうしろというのでしょうか?」

と伺うと、ご担当の部長さんは、

「そこで、竹永さん独自のマネジメント・ノウハウをを私達に教えていただきたい」

とおっしゃるのです。

申し訳ないのですが、丁寧にお断りし、そのかわり、こう付け加えました。

「それじゃあ同じことの繰り返しですよ。私が11人目のコンサルタントになるだけです。御社がやるべきことは、今までの10人のコンサルタントに教わった内容で、有益だ・有意義だと思うことを、咀嚼し、組織として導入し、文化(組織文化)として定着していくことです。私の独自理論など不要。ですから、今まで学んだことを実践のためのお手伝いをさせていただくというお話ならば、お受けします」

構成員がただ頭でっかちになるだけでは、組織は成長しません。
陳腐な言葉になりますが、

「実践すること」

が大切なのです。

「そんなことはわかっているよ」

ですよね。これじゃあ、精神論。

「どうしたら、実践できるのか」

を根幹から考える必要がありますよね。

組織によって、企業によって、正解は異なるかもしれませんが、私がまず疑ってかかるのが、前述した

「時間」

の問題です。

「変革のための時間がしっかりと確保できているか?」

を問いかけるのです。

ドラッカーの言葉にこんなのがありますよね。

「成果をあげるべき者の仕事の大奥は、たとえごくわずかの成果をあげるためだけであっても、まとまった時間を必要とする。最小単位以下の時間では、全く無意味である。何も達成できず、やり直さなければならなくなるだけである」

私はこの言葉にこそ、真理が含まれています。

企業のマネジャーが、部下に対して最初に行わなければならないのは、

「部下のために『まとまった時間』を与える努力」

ではないかと思います。

時間はたいていのことを解決してくれます。

企画書の作成も、後輩の育成も、仕事のマニュアル化も、売上げアップのための営業活動も、新規事業の立ち上げも…

大抵の場合、

「(まとまった)時間」

が、解決してくれます。

そりゃあ、すぐれたアイディアのひらめきや、たくさんのお金が必要な場合もあるかもしれませんが、それとて、ある程度時間があれば、なんとかなる場合が出てきます。

「酒は百薬の長」

といいますが、ビジネスにおいては、

「時は百薬の長」

なのです。

企業の経営資源というと、一般には、

「人、モノ、金、情報」

等を上げる方が多いのですが、

「時(トキ)」

が入っていてもいいはずです。というよりも、本来はそれらの筆頭に入っているべきです。

「時、人、モノ、金、情報」

こそが5大要素なのかもしれません。

「時間など創造できるか!」

と反論する方もいらっしゃるでしょう。

でも、ドラえもんは土地だけは作ることができないといっていましたが、私達人間は、時間を造ることができるのです。
それも、重厚長大なしくみを導入したり、長期的な教育訓練を受けることなく、造ることができるのです(本当)。
それは、クラウドやSNSといったITの力を借りたり、ちょっとした工夫をするだけで、仕事によっては、所要時間を50分の1とか100分の1にすることができるのです(本当)。

「え? そういう方法があるの」
「あるよ。しかも、無料だし」

こういう経験は誰しもがあるでしょう。

今日昼のビジネス雑談サロンで、話題になったのは、企業の記帳代行サービスを事実上不要にするサービス、たとえば、

「マネーフォワード」

のような革新的なサービスの存在はその典型でしょう。
ご存じない方はググってみてください。家計簿から確定申告まで…世界が一変するサービスですよね。
今まで何十時間もかかっていた作業時間が事実上ゼロになるサービスです。
いやあ、驚きですね。

世の中には、こういうサービスが山のようにあるのです。
ところが、そのことに、多くの方は気づいていない、または、気づくための方法を知らない。

今や、

「そういうものが世の中にある事自体を知らない」

ということが、いかにもったないことか、そして、競争上不利なことか、を認識すべき時代だと思います(他社が知っていれば、自社は相対的に、「競争劣位」になりますからね。「うちには関係ない」というのは簡単ですが、それはすなわち「あなたの会社の取り分が小さくなる」ことを示しているわけです)。

そのものの存在自体が判明すれば(「存在定理」)、後は自由に調べることができるようになります。
似たサービスや、それよりも、優れたシステムを探し出したり、場合によっては、作り上げたりすることはそれほど難しいことではありません。

しかし、

「そういうものが世の中にある事自体を知らない」

場合には、手の打ちようがないわけです。
他社がこぞって採用し、コストダウンを実現しているのを知らずに、自社がいつの間にか、業界最下位に転落し、「詰み」状態になっていた…こういう最悪のシナリオもありうるということです。

以前にも、ブログやウォールに書いたとおり、

「楽」「簡単」「長寿」

の3要件に該当する方法に聡くなることは、企業経営やマネジメントにおいて、今後、最重要事項となるのではないでしょうか。

ここで大切なのは、

「現時点で、「楽」「簡単」「長寿」な方法を知っていること」

ではなく、

「今後、長きにわたり、「楽」「簡単」「長寿」な方法を持続的に見つけ続けること」

です。

そのための方法を知っているかどうか、ここが勝負の分かれ目になると思います。

今後、あらゆる場面において、私はこの方法論についてお話していきたいと思います。

いわば、

「時間創造のコンサルティング」

です。
最近、どの会社に伺っても、この話をする時間が多くなりました。
場合によっては、丸二日間以上、この話をすることもあります(会議、研修、ミーティング等)。
ビジネス雑談サロンでも、これについては、何度も話している内容ですね。

繰り返しになりますが、マネジメントは、

「はじめに時間ありき」

です。

時間があれば、組織は変革のためのさまざまな試みをすることができるようになります。
企業は、時間創造にこそ、注力すべきなのです。
山のような材料が、この世には満ち溢れているのです(本当)。

追伸

今日で震災から丸三年。
あらためて、震災で亡くなられた方々に、哀悼の意を表し、同時に、愛するご家族を失った皆様にお悔やみを申し上げます。
行方のわからない方々のご家族をはじめ、被災された全ての方々に、心からお見舞いを申し上げます。