Microsoftは、Windows7においてライブラリーという機能を搭載してきました。この考え方は、仮想フォルダを使って、実際にはバラバラの存在にあるファイルを、一箇所に仮想的に集めることができるというしくみです。ショートカットを使えば、XPなどでも似たようなことはできなくはないですが、やはり、まどろっこしいです。ライブラリーの搭載は、歓迎すべきことです。ライブラリーによるファイル管理は、分類によるものではありません。前回、ご紹介したタグに近い発想です。できれば、10年くらい前から搭載してほしかった機能です。

Windowsに比べると、Macのファイル検索機能はたいへん優れています。全文検索は当たり前、ファイルの並びも時系列、ファイル形式別に自由に変更することができます。こういう合理的なしくみがあるなら、もっと前から使えばよかったなあ…と、つい先日までMacに興味のなかった私としては、思わざるを得ません。

最近の私のMacBookAirの使い方を1つご紹介。
Airの隣にDropboxで同期されたWindows機(ThinkPad)を置いて作業をします。

常々申し上げているとおり、私の場合、単純にWordやPowerPointで文書を作る作業は、ThinkPadのほうが、はるかに速いのです。

ですから、実際の作業は、ThinkPadで行います。ただし、作業を行うべきファイルは、Airを使って高速で検索するのです。

似て非なる名前のファイル名が大量に存在する私のパソコンの中では、時系列的に変更日時が最も新しいものを正しく選ぶということは重要な作業なのです。

そうでないと、野口教授のおっしゃるドッペルゲンガー・シンドロームに陥ってしまうのです(この言葉をご存じない方は、検索してみてください。「ドッペルゲンガー・シンドローム 野口悠紀雄」ですぐに見つかります)。
辞書または索引のように、ThinkPadのハードディスク内を、サクサクと検索してくれるMacBook Air。まるで、旅行先で、優秀な登山ガイドや水先案内人を雇ったような感覚です。

ThinkPadは、Windows機ですから、当然、Windows デスクトップサーチが入っているのですが、このソフトは検索速度が遅く、また、不定期に、突然、索引(リスト)作成作業が始まり、ジーコジーコとハードディスクが動き出し、他のタスクのスピードもダウンしてしまうという、厄介な欠点があります。

「え? Windows デスクトップサーチ、入れたんですか。あれを入れると、パソコンが重くなりますよね。慢性の鼻炎になってしまったような感じになりますよ。お勧めしないなあ」

ある方のWindows デスクトップサーチに対する評価です。残念ながら、まさにそのとおり。導入してしばらくすると、パソコンが、風邪を引いたような状態になってしまうのです。

もっとも、Windows デスクトップサーチは、Windows機では貴重な全文検索できるソフト。アンインストールしてしまうわけにもいかず、弱っていました。

変則的ではありますが、ThinkPadの隣にAirを置いて、水先案内を頼むと、たいへん快適に作業をすすめることができます。

MacBook Air ⇒ 探す作業に特化
ThinkPad ⇒ 作る作業に特化

この作業を、織原則に当てはめれば、「専門化の原則」に基づくものです。
薩長同盟のような力強いアライアンスの誕生です。薩長を取り持つ仲介者の役割を果たしているのが、Dropbox。常に両者のハードディスク(Airの場合はSSDですが)を、完全に同期してくれます。差し詰め、Dropboxは、薩長同盟を成立させた陰の立役者・坂本龍馬のような存在です。

Windows7をいまだ導入していないので、私が遅れているだけかもしれませんが、依然としてWindows機の内部環境=パソコン内部の情報へのアクセスは、速度的に十分ということはできません。

外部環境(インターネットを通じた外の情報)に対しては、これだけ迅速にアクセスできる時代です。関係者の皆様、どうか、一刻も早く、内部情報をサクサクと検索できるしくみを整えていただきたいと、1人のユーザーとして、切に願います。

㈱経営教育総合研究所 竹永 亮(ご意見・ご感想・ご用命はtakenaga@eiseikanri.bizへ)

<この稿終わり>