では、次に、有能感について見ていきましょう。

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1.   有能感の定義
「有能感」とは、仕事を行ううえで必要な知識・スキル・ノウハウなどに対する自信全般のことをさします。
人は能力が高くなると、それだけでモチベーションは高くなります。新入社員のときに学生気分が抜けず、おどおどと業務に接し、先輩社員にどなられて、落ち込んだことのなる人が、1~2年後に態度が堂々としてくることがあります。

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2.   他の因子との関係
有能感は、他の因子との関係も深い因子です。P.16の図も併用しながら、確認していきましょう。

(1) 自己決定感との関係
有能感は、後述する自己決定感に影響を及ぼす因子です。学習して自信がつき、有能感が向上すれば、上司や同僚は安心してその人に仕事を任せてくれる可能性が高まります。今までは上司や先輩の決済が必要だったものを「お前に任せる」「君の判断でいいよ」と言ってもらえるようになります。よって、自己決定感が高まります。

(2) 適職感・人的目標との関係
有能感は、後述する適職感・人的目標から影響を受ける因子です。

① 適職間との関係
適職感が向上するということは、「この仕事は私にぴったりだ」と思うようになるということですから、その仕事についてもっと学びたいという学習意欲が芽生えます。学習は更なる自信につながりますから、有能感が高まります。「適職感→有能感」の矢印は「好きこそ物の上手なれ」という諺通りの流れを示しています。「有能感→自己決定感→適職感→有能感」という流れを見ていただくと、三者間で渦(ループ)の関係になっていることがわかります。これについては、自己決定感のところで、補足します。

② 人的目標との関係
有能感は人的目標からも影響を受けます。ビジネス上の人的目標が見つかれば、「あの人(目標となる人物)に少しでも近づきたい」と考え、もっと学びたいという学習意欲が芽生えます。学習は更なる自信につながりますから、有能感が高まります。

(3) 承認との関係
後述する承認とは相互に影響を受け合う因子です。学習により自信がつき、有能感を感じられるようになれば、その状態は職場の上司や同僚、得意先からも評価されます。「彼は仕事できるようになったね」「彼は努力家だよ。よく勉強している」という評価を受けた当人は、「その期待と評価に答えるべく、もっと努力しよう」と奮い立ち、いっそうの学習に励みます。ですから、動機づけ地形図を見ると、「有能感→承認」「承認→有能感」と2本の矢印が行き来する渦(ループ)になっています。

㈱経営教育総合研究所 竹永 亮(takenaga@eiseikanri.biz ご意見・ご感想はこちらへ)