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今日一日喋らせて頂いた事業戦略講座のサマリーをアップしたいと思います。

事業戦略で重要なのは、「他社に勝つこと」です。ですから事業戦略の別名は競争戦略。

どうやって勝ち負けを決めるか。
タイム? 得点? いやいや、スポーツじゃないのですから。

勝負は至ってシンプル。利益で決まるのです。

持続的に利益を確保できる状態が維持できれば、「勝ち」、そうでなければ「負け」です。

顧客満足度とか売上とかシェアとか、どうでもいい2次的な指標です。

そのために、企業は(事業部は)何をすればよいのか。
戦略立案のステップは概ね、次のような流れになります。

1.自社の事業環境分析
2.競争優位要因の決定&コンセプトの決定
3.ドメインの決定
4.戦術(戦略の構成要素)の洗い出し
5.戦略の全体像の描き出し
6.戦略の目玉(中核的戦術)を創造と発見

概ね6段階です。

 

1.自社の事業環境の分析

何はともあれ、まずは、自社の内外の環境を整理しておきましょう。
SWOT分析などというカビの生えた手法にこだわらず、もっともっと柔軟な分析に心がけましょう。
6分割SWOT、重畳的AD分析、5津の競争要因を加味したAD分析等々。
いくらでも見つかりますよ。
PESTNでも3Cでも何でもオッケー。
ただ、鵜呑みするのではなく、できるだけバランスよく分析するための「重畳」を繰り返していただきたいのです。
1社分析ではなく、標的顧客と自社をセットで考える2社比較AD分析や2社比較価値連鎖分析、協力企業・自社・標的顧客の3社で行う3社比較AD分析や3社比較価値連鎖分析等も有効です。
というか、1社単独のSWOT分析では、99%新たな戦略は出てきません。
ポーターの『競争優位の戦略』を読み込んだ方なら常識ですが、2社比較、3社比較は、イノベーションの基本ロジックであり、事業戦略策定の基本ノウハウです。

「自社とその協力企業の強みと機会を組み合わせ、顧客企業の弱みと脅威を回避・克服する」

が基本ロジックだということです。

これを理解してしまうと、あくびのでるような机上の空論…たとえば、古典的クロスSWOT分析などどうでもよくなります。

 

 

2.競争優位要因の決定&コンセプトの決定

テーマ・タイトルの後段「競争優位要因の決定」と後段「コンセプトの決定」は、ほぼ同時に決まると思います。
どちらが先…ということはいえませんよね。

前段の競争優位要因の決定とは、要するに、

「で、うちの会社は何をもって、今後、利益を求めるのかね?」

と、社長に問われた時に、即答スべき3つの選択肢を指します。

単純なんです。3択しかないわけですから。

それは、

① コスト優位
② 高付加価値化による差別化
③ ニッチ市場への集中・独占

です。
特に、①②は顕著なトレードオフの関係にあります。
高付加価値化を追求すれば、コストは普通高く付くからです。

①②③から三択する際に、「コンセプトの決定」も完了します。
たとえば、

「いろいろ考えたんですが、今度の戦略は②で行こうと思います」
「で、具体的にはどんな方法でやるの?」
「はい。コンセプトを簡単に述べると『大人のダイヤブロック』です」

「大人のダイヤブロック」について詳しく知りたい方は私の講義を聞いてください。本題ではないので、無視していただいても構いません。

申し上げたいのは、競争優位の源泉①②③から1つを選ぶということは、それなりの戦略コンセプトが定まったということになります。
両者は同時に決定されるのです。

 

 

3.ドメインの決定

ドメインと要素とは、

① ターゲット(標的顧客)の決定
② 顧客機能(顧客に提供する機能 【例】商品、サービス)

のころです。

競争優位の源泉とコンセプトとが決まれば、自然とドメインも定まります(ここから先は比較的ライトな作業です)。

なぜなら、コンセプトの決定の際には、無意識のうちに、

(1) 誰をターゲットにしようか(Who(m))

(2) そのターゲットに何を売り込むか(What)

という2点を考えるものです。

ドメインでは(1)(2)に加えて、もう1つ

(3) そのためにどんな経営資源を具備するか(How)

が問われます。
優れた人材、最新のシステム、和気藹々とした企業文化等々。
組織によってさまざまでしょう。

この3つがキレイに定まると、経営者は利害関係者に、事業戦略案を説明しやすいわけです。

あとは力仕事です。

 

 

4.戦術(戦略の構成要素)の洗い出し

コンセプトと最終論理(3つの持続的競争優位源泉の選択)に基づき、AD分析やゲシュタルト分析を繰り返しながら、自社の戦術に関するヒントを大量にゲットします。
SP(戦略的立ち位置)の問題なのか、OC(組織的能力)の問題なのか、見極めながら、整理してみましょう。
概ね、事業を始めた黎明期にはSPを旗印として掲げる方が多いようです。しかし、やがて、他社の模倣・参入により、SPでは勝負できなくなります。
この場合、OCで勝負するしかありません。SPはOCに比べれば地味ですが、OCよりも模倣されにくいという特性を持ちますので、SPよりも長持ちするんでう。
重畳的AD分析やゲシュタルト分析を活用してください。

 

5.戦略の全体像の描き出し

発見されたさまざまなヒント、さらにそこから抽出されたいろいろな戦術(打ち手・戦略の構成要素)を試行錯誤の末、論理的に並べ替え、1つのストーリーを作っていきましょう。
全体像を示せば、経営者・株主・金融機関・従業員・顧客は納得し、感動してくれるはずです。その結果、売上が増え、利益も増えるはずです。

 

6.戦略の目玉(中核的戦術)を創造と発見

最後の最後に難題です。
ストーリー立てられた戦略には眼を見張るものがあるはずですが、中にはそうではないものも数多く存在します。

でも、古今東西を問わず、人々の記憶に残るような「凄い戦略」を建てたい方は多いでしょうね。

であれば、それなりの「目玉」を用意しないとうまくいきません。

可能な限り、ストーリー中に「目玉(中核的戦術)」を繰り込めむように努めてください。
あとは、サマリー(結論)を頭に移動し、こいつはできれば図表化したおいたほうがいいでしょう。
そのストーリーの「強さ』「太さ」「長さ」が重要なパラメーターになるはずです。
以上、6段階!
もう覚えちゃいましたか? 大丈夫ですか??
確認しておいてください。
かなり、まともな「戦略提案」になると思いますよ。