大企業や大手金融機関の方々と情報交換していると、学ぶことも多いが、同時に歯がゆい思いをすることしばしである。

情報漏洩リスクがあるからクラウドはダメ、複製が簡単だから紙をPDF化するのは禁止…

セキュリティという「牢獄」につながれながら、「新しいことをやれ」「差別化をはかれ」と叱咤激励されても、従業員の皆さんの士気は下がる一方だ。
一種のイノベーション・ジレンマが国の大企業全体を覆っているのだ。

彼らの大半は、人間が一番精神的に集中して活動する平日の午前9時から夕方6時まで、「情報鎖国」の中で黙々と働いている。
ネット断食…という言葉があるが、多くの大企業・大手金融機関は、いわば

「毎日がネット断食」

となっている。世の中から遅れてください…といわんばかりの恐ろしい環境で仕事するよう求めているのだ。

私の常識として、会議の時にインターネットにつながったパソコンがプロジェクターにつながっていない環境というのはありえないことである。
デフォルトなのだ。会議室とはそういうものなのだ。
世の中の情報を常にオブザーブしながら、議論すべきものなのだ。
しかし、多くの大企業では、こちらから事前にお願いしない限り、そういった会議室は用意してもらえない。

情報鎖国を続けることは、自社が十年後に世の中から大きく取り残されるリスクと隣り合わせである。

こんなことを続けていたら、どんな大企業も十年後には老衰状態に陥ってしまう。

一律禁止などに何の意味もない。

「火を使うと火事の恐れがあるので、我が社では火の使用を禁じます」

こんな御触書はマネジメントではない。
重要なのは、必要なしくみやシステムを「選択採用」する「目」を持つことである。

大企業や大手金融機関のトップの方にはこの点をぜひ真剣に考えていただきたい。

先週の「八重の桜」における山本覚馬。

「今は開かれた世。技術も思想も全て入ってくる。その中から我々が選びとるです」

キリスト教を敵視する行政に対する静かだが痛烈なこの言葉を耳にされた時、大企業や大手金融機関のトップはどう受け止められたのか。

あ、大企業や大手金融機関にお勤めの方で「同感だ」と思う方がいらっしゃったら、じゃんじゃんコピペして社内関係者に送りつけてください