中小企業診断士の第1次試験経営法務に出題されるかどうかはわかりませんが、数カ月前のマーケティング関連法の法改正情報を1つご紹介したいと思います。
かつて訪問販売法という名前の法律だった特定商取引法。 数年ぶりに大きな改正がありました。
今回の改正により、売り主の依頼がない飛び込みでの訪問勧誘などを禁止し、契約時の書面交付を業者に義務づけました。
物品を売る契約を結んでも8日以内なら解除できるクーリングオフ制度が導入され、その期間は商品を業者に引き渡さずに、「手元に置いた状態」のまま、あれこれ考えることもできるようになりました。
また、悪質な違反には罰則も設けられました。
これらは、商品を買うときにはとっくにルール化されていた内容ですが、これを「売り主」に対しても適用した点が、今回の改正の興味深いところです。
いわば、「押し買い」に対する規制強化です(「押し買い」とは、文字通り「押し売り」の逆の行為です)。
気になる対象商品ですが、大半の商品が規制の対象となっています。
ただし、消費者庁は政令で、大型家電や家具、自動車、書籍、CD・DVD類、有価証券の6品目を対象から外しました。
中古車の多くは買い取り直後にオークションで売買されるため、クーリングオフ期間中の売買が困難になると、中古販売業者としてはビジネスがしにくくなるというのが、対象除外となった理由です。
もっとも、中古車の売買を巡るトラブルはこれまでも多く(中古車買い取りを巡る相談は全国の消費生活センターに毎年約200件寄せられているといいます)、消費者団体はさらなる規制強化を訴えているようです。
内閣府の中にもさまざまな意見があり、問題があれば、近い将来、対象除外品については見直すという見解を示しています。
今回の改正のきっかけは、度々ニュースでも取り沙汰されている貴金属の買い取りトラブルの急増にあります。
買取業者が、高齢者の自宅に夜間突然訪問し、結婚指輪を無理やり買い取っていった、あるいは、不当に安い価格で金を無理やり売らされた…こういった苦情が後を絶たなかったのです。
国民生活センターによると苦情は数年前の数倍に跳ね上がっているといいます。
特定商取引法は違反すれば、違反企業の公開や業務停止命令だけではなく、刑事罰(懲役または罰金)も設けられています。
各企業に、しっかりとした対応が求められるところです。