昨日はコクヨさんの研究員の方をお招きし、ビジネス雑談サロンを開催しました。
久しぶりに全員男性での開催。士業比率は低め(私を含め、中小企業診断士は2名、弁理士が1名)。
初参加の方が2名、私を入れて合計8名の参加。
テーマは「電子ホワイトボードに思いを馳せる」。
アナログのホワイトボードを電子化したら、どんなおもしろいことができるか、可能になるか…ついて論じました。
生まれも育ちも違うメンバーが集まるわけですから、またまた、いろいろなアイディアが出てきました。
① 時間的・空間的制約をとっぱらう機能の付加
② PDFリーダー・ライターとしての機能の付加
③ 手書きで書いた文字への即座のOCR化とネット情報との瞬時の連結(手書きで書いた瞬間に関連情報がさっと取り出せる状態の供与)
④ 子供への教育を考えた場合には、動画との連携が不可欠
これらのアイディアもすばらしかったのですが、昨夜、私にとって一番おもしろかったのは、
「ホワイトボードは議論の結果に対するコミットメントに貢献しうる」
という仮説でした。
ここでいうコミットメントとは、おそらくは(昨日の雑サロ中に正式な定義づけはしなかったのですが)、約束に対する忠誠心みたいな意味だと思います。つまり、議事録を守ろう、承認しようという気持ちのことです。
ホワイトボードのないところで、つまり、お互いの意見のやりとりが、
「空中戦」
(この言葉も昨日はじめて聞きました笑。「言葉だけが虚しく、形式的に飛び交い、お互いによく理解しないまま、進行する会議」の意味のようです。「馬耳東風」型の会議ですね。)に終わってしまうと、結論が出てから、
「え、違うじゃないか」
「そういうことじゃないよ」
という方が必ず出てきます。
結論に対するコミットメントが低い状態が発生しやすいのです。
それに対し、ホワイトボードに、キーワードなり、チャートなりを書きながら、あるいは、描きながら、議論を進めていけば、
「思考のプロセスの共有化」
もっと申し上げれば、
「相手の脳の『見える化』」
が図れますから、あとから、
「テーブルをひっくり返す」
人が出てきにくくなるわけです。
つまり、結論に対するコミットメントが高くなります。
これって、テスト・クロージングの要領や効果と同じです。
ちょっと、こちらの動画をご覧ください。
会議、講義、ワークショップ、商談…いずれの場合にも、プロセスにおいて相手の同意(コンセンサス)を取り続ける技術というのはとても重要です。
これが、最終的に、結論に対するコミットメントにつながるからです。
昨日の参加者ではありませんが、私の雑サロ仲間の一人は、
「お客さんと商談する際に、ホワイトボードで1つずつ確認をとりながら進めていくと、後からひっくり返されることがなくなって、とても助かっている」
と、その効果を話してくれたことがあります。
これがさきほど、動画で見ていただいたテスト・クロージングの効果です。
さらに突き詰めれば、ホワイトボードは、司会者・講師・ファシリテーターの手元にさえあればよいというものではなく、本来、会議参加者、研修会参加者、ワークショップ参加者善人の手元にあるべき、
「プレゼンテーション・ツール」
なのです(陳腐な言葉ながらm(_ _)m)。
さらに、事情が許すなら、参加者全員の
「手元」
すなわち、
「ホワイトボード」
が、いつでも、参加者全員にプロジェクターでつながっている環境こそが理想です(スイッチャーで切り替えても良いのですが、できれば、「一覧性」を兼ね備えるシステムがほしいところです)。
そうすると、たとえば、円卓で8人で会議をする場合には、その円卓の外側に、そして、参加者一人ひとりの後ろに、8台のプロジェクターがあり、常に、彼らの
「手元」
すなわち、
「ホワイトボード」
が描き出されている状態こそが、理想になります。
つまり、往年のクイズ番組「クイズダービー」状態!
それが無理なら、会場で全員が見渡せるプロジェクターが分割画面になっていて、
① 全員の顔
② 全員の手元(ホワイトボード)
が写っている状態でもかまいません。
8人で会議をする場合であれば、(①+②)×8人=16分割です(おお、またまた、往年のクイズ番組「ヒントでピント!」を思い出しますね)。
ひとつ一つの画面はやや小さくなりますが、誰がどんな表情で、どんなメモをとっているのかが、即座に比較試聴出来る状態というのは、「刺激的」です。眠気など吹っ飛んでしまいます。
この手法が可能であれば、会議はもはや、一箇所で行う必要はなくなります。ほんとうの意味での電子会議が機能するようになります。
※ 現在のテレビ会議システムの大半は、参加者の顔、発言者の顔さえ写っていればよい…というシステムが多く、これでは「相手の脳の『見える化』」には程遠いのです。メモなり、ノートなり、ホワイトボードなりの「手元」をあわせて写すことで、初めて、テレビ会議システムは「刺激的なもの」になるはずです。
もちろん、くしゃみする瞬間まで写っている必要はないわけで、参加者の手元にオンオフのスイッチはついていたほうがいいでしょうが、それらは2次的・3次的な問題です。
「顔と手元のセット映像」
の重要性を、私たちは再認識すべきでしょう。
「他の7人が今何を書いているのか、描いているのか」
「他の7人は今どんなことを思いついているのか、考えついているのか」
が、常に見える状態というのは、
「ブレインストーミング」
の延長でもあり、参加者各人の脳への刺激の量は、
「空中戦」
の比ではありません。
いわば、
「リアルタイムにおける相手の脳の『見える化』」
です。
参加者のおひとりが、
「自分の考えを表出するための手段であるのは当たり前だが、それで終わらせてはもったいない」
「会議の際には、相手の脳をどこまでのぞくことができるかが重要」
とおっしゃっていましたが、まったくもって同感。
これこそが、
「電子ホワイトボードに求められる付加価値」
「アナログホワイトボードとの差別化の意義」
ではないか…と、私も思いました。
これは2次会(懇親会)で出た話ですが、ある企業では、全員が電子ペンを持ってメモをとっているそうです。電子ペンというのは、紙やパッドにメモをとると、その筆圧情報がパソコンに送られる…という商品です。
そして、社員全員が行うメモを会社のサーバーで一律管理し、お互いにいつでも検索できる…という状態を作り上げています。
一般に従業員が就業時間中に作成したメモは法人著作物になる可能性が高いので、会社が管理すること自体、さほど大きな問題にはならないかもしれません。
営業日報ひとつとっても、全社員の手書きの営業日報がいつでも検索できるようになると、とたんにデータベースとして価値が出てきます(手書きメモにOCRがかかられること自体は、Evernoteをはじめ、すでに珍しい技術ではありませんので)。
また、ある講演を聞いた後で、社員たちはどこに感じ入ったか、どこをたくさんメモしているか…といった情報も後から取ることができるようになります。
ナレッジ・マネジメント(知識の共有化)の具現化の1つの方向性かもしれません。
デジタルカメラの急速な普及、Evernoteなどの無料OCR技術の発達、クラウド・コンピューティングによる情報共有化の一般化により、
「隠れた競合(技術)」
がひしめく中で、電子ホワイトボードのアイデンティティを確立していくためには、どうやら、
「思考プロセスの見える化」
「相手の脳の『見える化』」
「顔と手元のセット映像」
「全員を納得させるシステムとしての存在」
などが、
「鍵」
となるのではないか…と感じました。
参加して下さった研究員の方がおっしゃるには、
「今日出たアイディアの大半は技術的には可能ではあるが、お客さんが買ってくれるかどうかがポイント」
ということで、このあたりが、強豪ひしめく文具・事務用品業界における難しさになっているのだろう…という話になりました。
今回、比喩として用いさせていただいた「クイズダービー」や「ヒントでピント」といった往年のクイズ番組に、電子ホワイトボードのヒントがあるかもしれません笑
追伸
参加者のお一人が山梨から持ってきてくださった「桃」!
みんなで分けさせていただきました〜 ありがとうございました!!