皆さん、おはようございます。
昨日は国を挙げての「恒星観測」。お疲れ様でした(私も目と首が疲れた)。
写真:2009年07月22日 武漢にて 皆既中の太陽
子供の頃から、ある惑星からその母星たる恒星と、惑星を回る衛星の視直径は、ほぼおなじになるのが当たり前なのか、それとも地球・太陽・月の場合が稀有な偶然なのか、いつも不思議に思っていました。
たとえば、火星の表面から太陽を眺めた時の視直径と、火星の衛星であるフォボスやダイモスの視直径は全然違います。
冥王星の地表(地表があるかどうかわかりませんが)から、太陽を眺めた場合にも、その視直径と、冥王星の衛星であるカロンの視直径は全然違います(カロンのほうがずっと大きい)。
つまり、月と太陽の視直径がほぼ同じということは、実に、実に不思議な偶然なのです。
これとて、地球に衛星が20も30もあって、そのうちの1つがたまたま太陽と同じサイズに見える…ならわかるのですがね、1つしかない衛星が母星たる太陽と同一サイズのところを「飛んでいる」…神々のいたずらとしか思えなくなります。
しかも。
「ある時は月が太陽より大きくなり皆既日食を引き起こし、また、あるときは太陽が月より大きくなり金環日食を引き起こす」
…こんな
「ゆらぎ」
までついている…
私が太陽系の設計者だったとしても、ここまでは思いつきません。
きっと、太陽系を設計した神々の間でこんなやりとりがあったのですよ。
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50億年前(太陽系誕生直前)。
神々による「新恒星系開発プロジェクト」の会議の席上にて。
「さてさて、皆の衆。今度作る、銀河系オリオン腕の恒星系の件なんだが」
「名称ですが、『太陽系』でよろしいですかね」
「異議なし。でも、なんか、月並みだなあ」
「確かに、名前は太陽ですが、月並みですね」
「そこで、ちょっと提案があるんです」
「なんだい、提案とは…」
「はい、他の恒星系との差別化を図ろうと」
「ほほう。差別化ね。いいね。で、具体的にはどうするんだね」
「4億年後に創世予定の第三惑星の地球ですが、そのまたさらに46億年後に知的生命体を進化させようと思います」
「知的生命体? それならいままでにも何度かやってみたじゃないか。バルタン星だとか、ガミラス星で…」
「いやいや、それだけじゃあおもしろくないので。彼らを退屈させないためにも、数年から数百年スパンで、日食という現象を引き起こしたいと思います」
「ああ、恒星を衛星が隠すというあれか。あれも前にやったことがあるよ。でも、そのうち、マンネリ化して、誰も感心を示さなくなるぞ」
「いやいや、ですからね、今回はこうするんです。ある時は月が太陽より大きくなり皆既日食を引き起こし、また、あるときは太陽が月より大きくなり金環日食を引き起こす……こんな、ゆらぎのようなバリエーションをつけてやろうと思います。どうですか? おもしろいでしょう」
「…あきれた。よくもまあそんな妙なことを思いつくものだな」
「ありがとうございます」
「いやいや、発想自体は大したものだよ。イノベーティブでよい。他の神々も彼を見習うように」
「そのためには、地球もそうですが、月の公転軌道、かなりの楕円軌道にしておいてください。そうでないと、ゆらぎが発生しませんから」
「了解。技術的には可能だよ。では、最大で、地球から見た月のサイズが平均の11%増し、明るさで30%増しになるくらいに月の公転軌道を設計しておくよ」
「ありがとうございます。50億年後、地球創生からですと46億年後になりますが、彼ら知的生命体たちの行動が楽しみですね」
「また、『神秘的よね』とかいってロマンに浸る輩が出てくるはずですよ」
「当たり前だっちゅうの。「神」が「秘」密裏に設計しているんだからな」
「ようし、じゃあ、各自、作業に入ってくれ」
「ラジャー」
「今日の会議は終了。次回は100万年後の同日同時刻。進捗状況の報告を忘れないように」
写真:2009年07月22日 武漢にて ダイヤモンドリング