「あきらさん」
iPhoneの日本語版Siriは、いきなり私をこう呼びました。
確かに
「亮」
という字は
「あきら」
とも読むのですが、私の場合、
「まこと」
と読みます。
「のっけからご主人様の名前を間違えているではないか」
とも思いましたが、そこは私もいい大人。
生まれて間もないSiriに目くじらを立ててはいけません。
アトムと天馬博士みたいな関係ですからね。
「ま、ご愛嬌…多めに見てやるか」
新たに日本語に対応したSiri。
期待が膨らみます。
しかし、今のところ、何を質問してもまともな回答は返ってきません。
唯一まともに反応してくれたのは
「今日の東京の天気はどうなっていますか」
という質問だけ。これについては、きちんと説明してくれました。
しかし、これ以外は軒並み
「理解できません」
の一点張り。
人工知能Siri…まだまだ、前途多難なようですね。
…と思っていたのですが、しばらくいろいろ試しているうちにある程度改善してきました。
「連絡先」のデータに正しい「ふりがな」が振ってあれば、Seriがそれを認識し、Appleのプロモーションビデオにあるように、その人にメールを送ることもできます。
この際、複数のアドレスが登録されている場合、「携帯」「Gメール」「会社」等もきちんと区別しておく必要がありますね。
さて。
人間をサポートしてくれる人工知能というのは、昔からSFの世界には存在します。
代表的なものを3つ紹介しておくと、
① ドラえもん(国民的キャラクターにしてネコ型ロボット)
©藤子・F・不二夫
② ロデム(横山光輝原作のテレビアニメ『バビル2世』の3つの下僕の1つ)
©横山光輝
③ K.I.T.T.(アメリカの特撮番組『ナイトライダー』に登場するスポーツカー「Night2000」のコンピュータ部分)
©テレビ朝日
…とまあ、こんな感じになります。
物理の法則を無視して荒唐無稽な道具を次から次へとのび太に与える①のドラえもんは所詮は想像上の産物です。
主人公バビル2世の命令で、何にでも変身してくれる黒豹型ロボット(‥だと思う)の②のロデム。これまた実現不可能でしょうね。
しかし…
③のナイトライダーに登場する人工知能K.I.T.T.はもしかしたら実現するかもしれません。
人工知能K.I.T.T.は、ナイト2000(車)とは基本的に同体であり、劇中同乗した女性から「車にコンピュータを積んでるの?」と尋ねられたマイケルが、「いや、この車そのものがコンピュータなんだよ」と答えています。K.I.T.T.から見れば、ナイト2000は自分が自由にできる手足なのです。
正式名称はKnight Industries Two Thousand。それぞれの頭文字をとりK.I.T.T.(キット)と呼ばれています。
さしずめ、SiriはK.I.T.T.実現への第一歩…というところでしょうね。
しかしまあ、よくもまあ、非論理的言語の代名詞である日本語を解析できるものです。これについては敬服します。
ただ、人工知能としてのガイダンスはまだまだイマイチです。改良と進化を待ちましょう。
しかしながら、Siriの付帯機能である音声入力システムのほうはなかなかの完成度。
単にメールを打ったり、返信したり…だけに使うのはもったいないです。
「知的労働、とりわけ、執筆業務におけるイノベーションの可能性」
を感じます。
たとえば、これからは、こんな感じで原稿を書くことが可能になります。
① 音声入力システムを使ってiPhoneにどんどん話しかけ、おおまかな下書きを作成します。
② そのデータをメール等に落としこみ、パソコン等本格的な入力装置に送信します。
③ 下書きを修正しながら、原稿を完成させます。
何でもそうですが、特に「書く仕事」というのは、
「最初の第一歩」
が面倒くさいものです。
いわば、
「執筆業務は、仕事開始時の動摩擦係数が大きい」
のです。
しかし、Siriのような音声入力装置の存在は、この動摩擦係数を低減し、極小化してくれます。
寝っ転がりながらでも、歩きながらでも、お茶を飲みながらでも、
「つぶやき」
さえ、すれば、それが文字になってくれるわけです。
最近は、
「つぶやき」
といえば、
「Twitterへの投稿=書き込み」
を示す言葉になってしまっていますが、音声入力装置の普及に伴い、
「つぶやき」
は本来の定義を取り戻すことになるでしょう。
原稿執筆への活用はさておいても、Facebookへの投稿、簡単なプライベート・メール等も、iPhoneの音声入力システムを用いて何ら問題ありません。
特に、後者の場合、多少誤字脱字があっても、意味がわかればすむことです。夫婦や恋人同士、親友や親しい同僚とのやり取りの場合、今後は、
「ちょっと誤字脱字があるのだけれど、音声入力なので固いことをいうのはやめましょう。返信業務における動摩擦係数が小さいので、キーボードで打ち込むよりも、ずっと迅速に返信できるという長所があるので、細かい短所は目をつぶりましょう」
という社会的ルールが一般化するのではないでしょうか。
試しに、iPhoneの音声入力機能を用いて、
① Facebookへの投稿
② 親しい方々へのメール送信
を行なってみました。いずれも、もちろん、念のために、
「音声入力ゆえ誤字脱字はお許し下さい」
といったニュアンスの断りを入れての投稿・送信です(でないと、失礼に当たる場合が出てきますよね)。
結果としては、そこそこ行けそう…です 笑
固有名詞や専門用語、同音異義語は、やはり苦手なようです。
日常会話的表現で、あまり同音異義語を使わないように気をつければ、概ね問題なくコミュニケーションをとることができそうです。
「やはり、使わないのはもったいない…」
そこで、iPhoneの署名欄をこんなふうに変更してみました。
これなら、まあ、めちゃめちゃひどい失礼には当たらないかとm(_ _)m
今日から一種の社会実験のスタートです!
再び話を原稿執筆業務に戻してみましょう。
この度iPhoneに搭載された音声入力機能は、前述したとおりなかなかのものです(人工知能Siriはイマイチですが…笑)。
こうなると、この機能がiPhoneにしか搭載されていないといのは、誠に不便です。
iPadやMacBookにも搭載していただいたいものです。期待しましょう。
さてさて。本日のまとめ。
Siriの実力は今のところ未知数。
今のところ人工知能として過大な期待をしないほうがいいでしょう。数年後のSiri2、Siri3への橋頭堡だと考えたほうがいいかもしれません。
しかし、iPhoneの音声入力システムはすごい!
相当実用的です。メールの返信に使うというよりも、執筆業務の効率化(動摩擦係数の低減)のためのシステムとして捉えるべきでしょう。
知的労働の生産性が飛躍的に高まる契機となるのではないかと思います。