この1ヶ月間、「プレゼンテーション」という言葉をずっと活用してきましたが、本来、プレゼンテーションにはさまざまな概念が含まれ、非常に範囲の広い言葉です。
社内での10分間の報告もプレゼンテーションですし、顧客への商品説明もプレゼンテーションです。私たちのように2.5時間1コマの講義を1日に最高4本行う場合もプレゼンテーションに該当します。
これらのプレゼンテーションは、基本こそすべていっしょですが、実際に必要とされるスキルはずいぶんと異なります。
たとえば、かつてTwitterにおいて
「人間が誰かの話を集中して聴き続けることのできる時間には限界がある。研究によればおよそ10分間。講義・講演・プレゼンをする際には、この点に注意し、10分経過するごとに何らかの「変化」を演出を加えてみよう。クイズ、1分間ディスカッション、ゲーム、動画、板書、質疑。方法はいろいろある。」(140字)
とつぶやいたことがありますが、10分以内の社内報告であれば、このようなノウハウは必要ありません。
最近、Facebookで知り合った友人たちの多くは、士業、社内の人事担当者、営業部門のマネジャーの方々が多く、彼らの多くは、業務上、何らかの講師・インストラクターの役割を担わなければならない立場にいらっしゃいます。
短くても30分。
長ければ3時間〜1日。
自分でセミナーや講演の切り盛りをしなければならないし、講義を担当しなければならない…というお立場です。
具体的には、「社内講師」として活躍されている人事部門の育成担当者や、税理士としてさまざまな方の前で税務についてのセミナー講師を努められている方々です。
担当されているセミナーや講義は、無料のものもあれば、有料のものもあります。
およそ、不特定多数の方の前で長時間の話をする際には、それ相応の知識と技術が必要です。
この場合、漠然とした「プレゼンテーション」の基本テクニックだけではまったく足りません。
不特定多数の人々に長時間話し続け、教え続け、伝え続ける「インストラクション」の知識とノウハウが必要になります。
今日の昼間、書店で、「プレゼンテーション」「話し方」に関する本を2時間ほどかけて読み比べて参りました(本屋さん、ごめんなさい。最後にはちゃんと買ったので許してください)。
しかし、やはり、ほとんどの書籍は、少なくとも、私の仕事には役に立ちませんでした。
私が知りたいのは、一般的なプレゼンテーションではなく、長時間不特定多数の人の前で上手にしゃべるためのインストラクションの技術だったからです。
先週、FacebookページおよびYouTubeにアップした4本の動画
「無敵のプレゼンテーション」
は、本来のタイトルは
「無敵のインストラクション」
とすべき内容でした(今更変更はできませんが笑)。
http://www.facebook.com/Takenaga.Makoto
http://www.facebook.com/photo.php?v=174942182597406&set=vb.214254828622014&type=2&theater
これらの動画のターゲットは、インストラクションを仕事とする方々だったからです。
動画の収録時間は4本あわせても50分には達しません(45分くらいです)。
対応しているテキストはA4判2頁のレジュメのみ(PDFでアップロードしています)。
http://firestorage.jp/download/cafcd14fff5efd5a758b2b8bce1784d42d379b3e
これだけです。
これだけで、インストラクションについての技術の基本は十分にお伝えすることができます。
後は実践あるのみ! 繰り返し自らの動画研究を続けていきましょう。
話し足りなかった部分については、今後もアップロードしていきたいと思いますが、今回アップした内容と比べれば、優先順位は低い内容ばかりです(可能な限り優先順位の高い内容から収録しましたので)。
さて、本日の立ち読みの結果についてちょっとだけ補足を。
山積みされている書店のプレゼンテーション技法のコーナーにおいて、やはり、
『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』(カーマイン・ガロ著、 井口耕二訳 日経BP社)
は数少ない良書です。
トレーニング方法についての記述は少ないものの、プレゼンに対する示唆に富み、技法も新しいもの・本質的なものを紹介しています。
クライアント企業の部長さんで、Facebook友達でもある方から
「脅威のプレゼン、竹永さんが読んでいなかったのは意外です」
とコメントを頂いたのですが、案外、プレゼンに関する書籍というのは我が家には少ないことが判明しました。
思考法、ロジカル・シンキング、業務改善、仕事法といった類の本は、山のようにありますし、新刊が出るとできる限り目を通すのですが、プレゼンに関する本は日経文庫が1〜2冊という程度という始末。
あまり読んだことがありませんでした。
思考法や仕事法の新刊には、それなりにノウハウが書かれていることが多いのですが、プレゼンに関する書籍はどれも既刊の焼き直しが多い…と思っていたからです。
しかし、今日はもう1冊、良著を発見しました。
『裸のプレゼンター 』(ガー・レイノルズ著、熊谷小百合訳 ピアソン桐原)
これはよく書けています。
例によってトレーニング法についての記述は満足できませんが、それでも、他の本よりは記述量が多い。
「リハーサルは行うべきではない」
など、私の意見とは食い違うところもあるものの、それにはそれなりの理由が示されていて、読んでいて爽快な気分になります。
訳もよい。こういう本は訳がまずいと全く読む気がしなくなるので、訳者の熊谷さんには感謝です。
7月似でたばかりの本ですが、注目してよいと思います。
Amazonでばかり本を買っていてはダメですね。やっぱり、フィールドワーク(書店での書籍選択。立ち読み笑)が大切ですね!