インターネットの情報(=外部環境情報)がこれだけ簡単に集まる時代であるにも拘らず、パソコン内部の情報の検索には、実に時間がかかります。

「Windowsにも検索のツールがあるじゃないですか」

と反論されるかもしれませんが、Windowsに元々付属されている検察ツールは実に貧弱なものです。他のソフトがどんどん進歩する中で、何年間も基本機能に変化がありませんでした。

つい最近まで、WordやPowerPointで作成した文書の全文検索ができないなど、XPまでに標準搭載されていたファイル検索ツールの機能は、極めて限定的なものでした。Microsoftが作っているOfficeソフトで作った文書ファイルを、MicrosoftのOSで自由に検索できないという、およそ、不可解な状況が10年以上続いてきたのです。

2005年にGoogleデスクトップサーチが出てきて、この状況は多少改善されました。ハードディスク内の全文検索が可能になったためです。
しかし、Googleデスクトップサーチは、検索結果がWebサイトのような並びになってしまい、検索結果を自由に並び替えることができません。

私がハードディスク内のファイルを検索する場合、およそ9割が、

① あるキーワード(または拡張子)で検索をかけ
② 変更日時に基づき、時系列で並べ
③ 直近に変更したファイルからアクセスしてみる
④ アクセスしたファイルが目当てのものでない場合、変更日時の新しいものから、順次アクセスし、見つかるまで調べる

というプロセスを経ます。

手元にあるThinkPadの場合、My Documentの中には、現在、13,236個の文書ファイルがあり、その大半が、テキスト・ファイルか、Wordファイルか、Excelファイルか、PowerPointファイルか、PDFファイルか、JPEGファイルです。この中から目当てのファイルを見つけるには、上記①〜④の流れに則って検索をかけるのが、理論上は一番速いのです。

しかし、全文ファイル検索ができなかった、最近までのWindows機では、どうしても、ファイル名検索に頼らざるを得ず、結果として、保存するファイル名を長めにしなければならないという欠点に悩まされてきました。検索したときに、何らかのキーワードでそのファイルが引っかかるように、たくさんのキーワードを含んだファイル名を付ける必要があったからです。
たとえば、

「2010年(平成22年) 中小企業診断士第1次試験 経営法務 全国公開模擬試験(模試) 解答・解説 初稿 会社法中心部分」

といった具合です。長いですね。実に長い。
長いのですが、こうしておけば、「2010年」で検索しても、「平成22年」で検索しても、「第1次試験]で検索しても、「1次試験」で検索しても、「1次」で検索しても、「模擬試験」で検索しても、「模試」で検索しても、「経営法務」で検索しても、「法務」で検索しても、「会社法」で検索しても、このファイルに到達することができるのです(くどくてすみません)。

「階層化し、ファイルを分類すればいいじゃないか」

と反論されるかもしれませんが、私は原則として、ファイルの分類はいたしません。

ファイルに限らず、情報の分類に対し、私はかなり以前から懐疑的であり、ほとんどやったことがありません。
情報の分類の代表例は、メールの振り分け(メールのフォルダ別分類)です。当然、私はこれをほとんどやったことがありません。

最近では、Googleのメール・ソフト「Gメール」が普及しましたが、Gメールは、フォルダ別分類を基本とせず、タグによる管理を前提としています。Gメールの普及を見ながら、ようやく世の中も「分類」の時代から「タグ」の時代になったなあと、一人ほくそ笑んでおりました。

世の中の流れが、「分類」ではなく、「タグ」に移ってきているのは、当然のことです。「タグ」を使えば、「分類」によって必ず生じる「こうもり問題」を解決することができるからです。

㈱経営教育総合研究所 竹永 亮(takenaga@eiseikanri.biz ご意見・ご感想はこちらへ)

<次回に続く>