本日は弊社主催の理論政策更新研修を担当させていただきました。
参加された皆様、改めて、御礼申し上げます。
「DREA」「MCM」「STP」「DREAⅡ」。
理論政策更新研修を担当するようになってから5年が経過。
既存の研修とはちょっと違った研修をご提供申し上げたい…という想いから、毎年1テーマずつ
「新作」
を発表して参りました。
過去4年間はいずれも、私自身がコンサルティングあるいは企業内大学でお話しているオリジナル・フレームワークのエッセンスを2時間半から3時間かけてお話する…という内容でした(残りの時間が中小企業施策についての解説講義となりますので)。
しかし、今年は趣向を替え、社会現象にまで成長した
「ドラッカー」
を真正面から取り上げてみました。
「解説」
するだけであれば、特に理論政策更新研修という場は必要ありません。
研修どころか、書店には山のような
「ドラッカーの解説書」
が積み上げられています。
じつは、
「もしドラ」
がヒットして以来、今日までのおよそ1年間半の間に、これらの解説書…ほとんど購入し読んでみたのです。
「よくできています」
これが私の感想。ただし、
「企業経営にどう活かせばよいか」
という
「提案」
はほとんどなされていないのです(見事に皆無…といったほうが正確です)。
ましてや、企業への導入事例はほとんど情報がありません。
中小企業がドラッカーの考え方をどう活用しているか…という情報になるとまさに皆無!
「これだけ読まれているのに、読まれているだけなのかなあ…もったいないなあ」
事例がなければどうするか?
作れば良いのですよね。自分で…笑
「ドラッカーを企業経営や企業研修で積極的に活用してみよう!」
実際に導入してみると本当に役に立ちます。
理由は3つ。
① ブームのおかげで「読みたい」という方が多い
② 乗り遅れた方にとっては「渡りに船」となることが多い
③ 尊敬されている人物であり、「アンチ」が少なく、否定されにくい
ですから、
「ドラッカーを課題図書にしてみましょうか」
という提案は思った以上にスムーズに受け入れていただけます。
クライアント企業で、ドラッカーについて語る際には、いきなり、彼の思想や理論的背景、生涯などを話すよりも、何らかの
「アイスブレイク」
を用意してあげたほうがよいのです。
本日の理論政策更新研修でも幾つかのクイズを出題してみました(実際に私が使用しているものを実例としてご紹介)。
中小企業診断士の集団なので、正解続出で釈迦に説法…となるのが怖かったのですが、案外、正答率が低く、一方で、全問正解のグループもあり、のっけから会場は沸きました。
「おお、診断士の先生方にも通用するのか…(にんまり)」
と言った感じで研修スタートです。
とにかく、まずは、ドラッカーに興味を持っていただけるような工夫から入るのがベストです。
弊社の研修はすべてグループ・ディスカッション形式、かつ、少人数制を採用しており、100人・200人という大教室ではまだ行ったことはありません。今後、ファンのかたが増えてくれば、大教室という選択肢も生まれてくるでしょうが、それはちょっ未来のお話です)。
今回、私が主要テーマとして取り上げたのは、
生産性の最重要要素をしての「時間」資源の使い方。
これを中小企業(含・大企業)で活かすためには、タイム・マネジメントのイロハからスタートしなければなりません。しかも、その際には、「現在と未来」「短期と長期」のバランスが重要になっています。
今回の研修では、
① 日々の業務の中でできるタイム・マネジメントのヒント
② 「追跡線の論理」から導かれる戦略的な中期経営計画の方向性
についてお話させていただきました。いずれも私のコンサルティング事例のエッセンスによるものです。
本研修でのもう1つ大きく取り上げたのが、
「イノベーション」
です。ドラッカーの思想色・人間重視色の強い経営哲学を、実際の企業に導入するためには、その対局に位置する実践色・仕事重視色の強いポーターのフレームワークを活用し、具体化するのがベストです。
イノベーションの場合、それを具体化するためには、ポーターの
「価値連鎖」
を応用するのがベストです。
ついでに申し上げるなら、これにDREAのゲシュタルト分析を組み合わせるのです。
いわゆる
「2者比較型価値連鎖分析」
により、自社の活動が顧客の活動にどのような影響を及ぼす可能性があるかを知るには、ポーター曰く
「詳細な図解化しかない」
ということになります。
これを使った企業事例(私も最も最近のコンサルティング事例)をご紹介しつつ、話を進めました。
さらに、イノベーション(ドラッカー)や差別化(ポーター)は
「企業の至る所で起こりうる可能性があること」
を示すために、古典的フレームワーク、古典的ノウハウに、ちょっとだけメスを入れることにより発生するイノベーションを体感していただきました。
「ブレインストーミング」
のような珍しくも何ともないノウハウが、ちょっと、イノベーションの意識を持ってカイゼンすることにより、とてつもなく生産性が上がるということを、本日は参加者全員の方々に体感していただきました。
擬似ブレインストーミング法ではなく、真の戦略的ブレインストーミング法がどんなものであるのか、更にダブル・ブレイン法の活用まで視野に入れていただきたいことを加え、
「イノベーション」
については締めくくりました。
続いて、
「事業の定義」
を取り上げ、エイベルのドメイン論も大きく変化してきていることをご説明いたしました。
ドラッカーのいう
「企業は通常2つ以上の顧客がいる」
が正しければ、それに基づき、
「ドメインの垂直展開」
が必要になります。ここでも
「2社比較型価値連鎖分析」
が役に立ちます。「他社」を「垂直展開」し、流通経路の各段階に位置する「間接的な顧客」を視野に入れた分析をするわけです。
「自社の活動が直接・間接的顧客の活動にどのように貢献しうるか」
これだけです。
シンプルにこれだけを見つめていきます。
地味な作業です。
でも、思わぬ発見ができます。
「こうすりゃあいいんじゃないか?」
これが出てくれば、陳腐化した言葉であるはずの
「コンサルティング営業」
の姿も変わるわけです。
最後に。
皆さんに投げかけたのは、ドラッカー自身が唯一後天的に取得することがありえないと主張している
「真摯さ」
について、皆さんに考えて頂きました。
私が説明するだの講義するだの…ではなく、ワールドカフェを通じて、語り合って頂きました。
模造紙にもいろいろ書きこんで頂きました。
時間の関係で1Roundのみとなりましたが、次回はもっとこの時間を増やしてもいいかな…と考えています。
研修終了後に大きな拍手を頂戴し(ありがとうございました m(_ _)m)、そのまま山口にバトンタッチ…と行きたかったのですが、ここで意外な出来事が…
「写真取りますね」
「写真取らせてください」
皆さん、ホワイトボードに掲げた本日のレビューを早速パチリ!
いいですね。時間短縮のためのタイム・マネジメントであり、かつまた、イノベーションにも該当する行動です。
すばらしい!! 本当にすばらしいです!!!!
夕方から別件の打ち合わせが入っており、受講された皆さんとはエレベーター前でお別れいたしましたが、次回は是非、参加者の皆さんと2次会に繰り出し、もっと深いところまで議論させていただきたいと思います。
本日は本当にありがとうございました。
今年度の弊社の理論政策更新研修はまだまだ続きます。
「ドラッカーについて語りたい!」
という方は一度お立ち寄りください。
http://www.riron.jp/site/Tokyo.html