最近、学校の経営に携わる友人から興味深い話を聞きました。
いわゆる「説明会」に人が集まってこないというのです。
「震災後はなかなか説明会には人が集まりにくい」
という話は、先日も山口・矢田両氏から伺っていましたので、
「震災のせいではないかな」
…と意見を述べると、彼は、それが理由ではないといいます。
「では何が原因なのだ」
と尋ねると、原因は
「Facebookにある」
というのです。
大学であれ、資格の学校であれ、予備校であれ、今や、消費者の購買行動、特に情報探索行動は大きく変わってきています。
その変化は、『資格の学校』『ケイコとマナブ』といった雑誌媒体ではなく、ホームページを媒体として、学校選びをするようになった…およそ10年前の変化とは質が違います。
この時の変化は、インターネット時代の幕開け…として騒がれはしましたが、あくまでも情報は、企業からのみ消費者に届けられるワン・ウェイ型であり、根本的な部分の変更ではなかったのです。
しかし、今度の変化は根本的です。
Facebookの登場により、企業は真の意味で「嘘」をつけなくなったのです。
パンフレットや説明会、ホームページには、やはり「かっこいいこと」を書きます。
㈱経営教育総合研究所だって例外ではないです。私が原稿を書けば、やっぱりそれなりに「化粧」を施してから、ホームページにアップします(もちろん、嘘は書きません。ただ、書かなくていいことまで全〜〜〜〜〜部書いているか…と問われれば、「いいえ」となります)。
ところが、弊社のホームページにアクセスしたお客様は、その直後に、Facebookにアクセスし、
「さっき、㈱経営教育総合研究所のホームページを見ていたのですが」
と、自分が得た情報の真意を、友人に尋ねることができます。
「今日、●●スクールのパンフレット取り寄せたのですが」
「今日、××大学の説明会に行ってきたのですが」
といった場合もいっしょです。
質問を受けた、「実名」で信頼できる友人たちは、当然のことながら、
「真摯に」「知っている」「事実」
を、訪ねてきた友人のために丁寧に教えてくれます。
私の施した「化粧」など、あっという間に見ぬかれてしまうわけです。
「竹永さんってどんな人物? ●●大学にいたらしいけど」
「ああ、通っていたのは確か。でも、確か、聴講していただけだよ。卒業はしていない」
こんな具合です。
他のSNSや「2ちゃんねる」のような匿名型掲示板でも、その手の「裏話」はありましたが、その場合には、「裏話」のほうに信ぴょう性がありませんでした。
十年くらい前に、一度、「2ちゃんねる」に、
「竹永は診断士試験に合格していない。登録証を持っていない」
と書かれたことがありましたが、お陰さまで、誰もこの情報を信じたりはしないでいてくださったのを覚えています。
その数日後。
「TBCの竹永です。私の登録番号は●●●●●●●。試験には合格しています。有資格者です」
というコメントがレスとして付いたときには、もう一度びっくり。
一体誰が書いたんでしょうね。
さらに、その日のうちに、知人・友人から、
「竹永さんの毅然とした態度に感服しました」
というメールが、どっさりととどいたときにはもう一度びっくりしました。
今では笑い話ですが、当時は、社内でいろいろ予防策を講じたものです。
匿名によるチャット、SNS、掲示板は、今や、どこの企業も気にしなくなりました。
ところが、Facebookはそこが違う。
信頼できる情報が、毎日、何億通もやりとりされているからです。
「懇切丁寧に指導します。オンもオフもありません。それが私の信条です」
と、私の言葉がパンフレットに載っていても、Facebookを数分見れば、
「え? この竹永っていう人。自分の担当しているうクラスの受講生と全然コミュニケーションとっていないじゃない」
ということは、隠しようがないのです。
もちろん、
「Facebookに入らなければいいじゃないか」
という考え方もあります。
しかし、大学・大学院・資格の学校・ビジネススクール・コンサルティング…といった業界では、関係者のFacebookの加入者は非常に多い。
したがって、
「参加しない」
ということは、自身の実績の証明の点で不利になってしまいます。
「顧客には、口で伝えればいいじゃないか」
とおっしゃるかもしれません。
不可能ではないと思いますが、たいへんな時間と労力、エネルギーが必要になります。
「Facebookに登録し、『友達』には組織的な「サクラ」を用意。組織的にいい噂や評判だけを流したら、企業の実態をカモフラージュできるのではにないか」
これもだめです。
Facebookは交友関係が白日のもとにさらされていますから、組織的な「サクラ」は、交友関係が「閉じている」ので、すぐにわかってしまいます。そもそも、ビジネス面で効果を上げたければ、実名で、企業名をオープンにするのが前提ですから。
あまり、Facebook、Facebookというと、私自身がFacebookからリベートでも受け取っているように思われるかもしれません 笑
ですから、話を一般化し、Facebookという固有名詞をはずしてみましょう。
「実名型のSNSが高度に発展すれば、企業・事業・製品・役務・人物等に関する情報においては、事実上の完全市場が形成される。」
以上が今日の結論です。
私の場合も例外ではありません。
自分の能力や可能性、人柄や実績を証明するためには、Facebookに入っている方がずっとたやすいのです。
以前からおつき合いのあったお客様はともかく、これから出会う方にとって、Facebookに所属しているということは、一番簡単な証明(Evidence)になります。
これは以前にお話しした相互安全保障効果の延長ですが、その派生として、証明効果とでも呼ぶべき効果です。