カント『道徳形而上学の基礎づけ』(大橋容一郎訳・岩波文庫)を読了した。 新しい訳ということもあって、語り口は明快。巻末の脚注と索引も丁寧で、哲学書としてはかなり親切なつくりだ。それでも、やはり後半は難解で、読み通すには気・・・
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なぜ“赤字でも社会貢献する企業”は尊いのか? 〜カントとパーパス経営の接点〜
日本の企業文化において、古くから「黒字の一部を社会に還元する」姿勢は美徳とされてきた。経団連が1989年に設立した「1%クラブ」はその象徴的な取り組みであり、企業が利益の1%を文化・教育・福祉などに寄付することを推奨する・・・
完全義務と不完全義務〜カントとハーズバーグの構造的共鳴
カント倫理学における義務は、「完全義務」と「不完全義務」に分類される。前者は果たされなければ非難される類いの義務であり、後者は果たせば称賛に値するが、果たさなくても即座に非難されるものではないという義務である。 この構造・・・