先週の水曜日に久しぶりに母校を訪問いたしました。
訪問先は、早稲田大学大学院商学研究科/ビジネススクール木村達也教授の研究室。現在は、早稲田大学マーケティング戦略研究所所長を務められています。
日大のMBA時代の恩師です(修士論文の主任指導教官)。ただ、先生のお名前を最初に存じあげたのは、もうちょっと前。ダイヤモンド社の『コトラーの戦略的マーケティング』がきっかけです。先生は、本書の翻訳者でいらっしゃいました。
この本の内容は、本当に鮮烈的でした。マーケティングの本質であるSTPの重要性は、ほとんどすべて本書から学びました。読み終えた直後に、私は、自身のために、本書の20ページ程度の要約レジュメを作成し、これは今でも利用しています。
当時、TBC受験研究会のVTR版竹永塾の教材として使っていた記憶も残っています。コトラーの名著は多数あれど、『原理』『イントロダクション』『マネジメント』『3.0』…いずれも、この銀色の表紙の1冊ほどの感動は覚えませんでした。

さてさて。
早大訪問は、ざっと5年ぶり。
その間、ずいぶんと高田馬場も早稲田も大学の中も変わったようです。

誤算の1つは副都心線。

「これを使えば、高田馬場を経由せず、池袋から一本で大学に行ける」

という私のプランは完全な思い込みであることが明らかに。

「西早稲田」

の駅は、学習院短期大学や早大理工学部に行くのにはベストな選択ですが、早稲田大学本部キャンパスに行く際にはほとんど意味がない位置に作らていたのを、初めて知りました。

昔のとおり、池袋から高田馬場へ。
時間が多少余ったので、高田馬場からぶらぶらと徒歩で本部キャンパスにあるきます。

昔と違ってきれいなラーメン屋が増えました。
「一風堂」まで店を出している。
「コットンクラブ」もいつのまにかオープン型のおしゃれな店になっています。
古本屋は激減。神田と並ぶ古書店街というイメージはほとんど残っていません。
「キッチンおとぼけ」はそのまんま。メニューの値段も20年以上かわっていないのではないでしょうか。定食はみんな500円。

ようやく久しぶりに大隈講堂が視界に入ってきます。
これは全然変わっていないですね。

さて、本部キャンパスに入ってびっくり。学生の多さ。女子の割合の多さ。
そして、高層建築化されたキャンパス内の校舎!

「ここが、あの早稲田か?」

と目を疑いたくなるような光景です。昔と全然違います。

「迷ったら電話してきてください」

と、木村先生がメールで研究室の電話番号を送ってきてくださった理由がだんだん分かってきました。

「母校で迷子になる可能性があるということか…」

大隈侯の銅像に一礼し、めざす校舎をきょろきょろと探す私。

「あ、目の前だった」

商学部の入っている11号館は、大隈侯の銅像のすぐ後ろに建っていました。
これまた高層階のビルディングです。思わず、下から見上げてしまいます。

商学部の校舎の割には、これまた、女子が多い(この理由は、後に明らかになるのですが)。
これまた想定外。別な大学を訪問したような違和感を感じつつビルの中へ。

眼前に現れたのは、なんと

「エスカレーター」

いまどきの大学はエスカレーターがあるんですね。
もっとも、高層ビルだから当たり前か。

ところがこのエスカレーター、目指すべき研究室のフロアまでは続いていない。
5階あたりで途切れてしまっています。
あたりには無数の学生が目に入ってきますが、上の階へのエスカレーターは見つからず。

「お上りさん状態だな」

冷静に自己分析。
この日は、大阪出張用に大きなキャスターバッグを持って歩いているので、「お上りさん状態」に拍車が掛かります。

一瞬よぎる木村研究室の電話番号。
しかし、久しぶりにお会いする恩師に

「校舎の中で迷子になりました」

はあまりにも格好悪い。却下。
「お上りさん」、勇気を出して、20年以上下の後輩に声をかけます。

「すみません。上の階に登るエスカレーターはどちらですか?」

近くにいた学生さんに声をかけてみました。

「奥のほうに、教員・来客用のエレベーターがありますので、それを使ってください」

と丁寧に教えてくださいました。イントネーションからすると、外国人の留学生の方のご様子。
丁寧にお礼を申し上げ、教えていただいたエスカレーターのある方向へ。

ありました、ありました。
これに乗ればいいのですね。

いっきに11階へ。目指す研究室はもう間近です。
エレベーターに乗って、これが本当の「お上りさん」。

以下、次回に続く。