すでに新聞やテレビなどで報じられているとおり、Appleは最近サムスン電子のスマートフォン(GALAXY S)とタブレットPC(GALAXY TAB)がiPhoneとiPadを模倣して特許権と商標権を侵害したとしカリフォルニア北部地方裁判所に訴訟を提起しました。
Appleは裁判所に出した訴状で、サムスン電子がGALAXY SとGALAXY TABの表面デザインと画面中アイコンなどがiPhoneやiPadと似ていて、全16件の特許権および商標権を侵害したと主張しています。
報道の中で、「トレード・ドレス」という言葉が使われていることに気づいた方も多いと思います。
トレード・ドレスとは、もともとは製品のパッケージを意味する言葉でしたが、現在では、製品自体の形状や装飾も含むように解されています。
パッケージに付される商標だけではなく、容器や包装の輪郭,大きさ、形、色、デザイン印象、感触,素材なども含まれる「商品の衣服(ドレス)」という意味です。
特定の「商品や役務」に使用して自社製品と他社製品を区別するために使用する「商標」や、デザインを登録する「意匠」や「商号」とは異なる概念です。
日本の不正競争防止法における「商品等表示」に近い概念です。
米国では、他社のトレード・ドレスの使用は法律で禁止されています。判例では、トレードドレスを「商品もしくは役務の全体的な外観若しくはイメージ」と広く解する傾向が示されています。
米国におけるトレードドレス保護のための要件は、次の3点です。
①識別力を有しているかどうか(識別力要件)
②混同のおそれがあることどうか(混同要件)
③保護を求めるトレードドレスが非機能的であること(非機能性要件)
本訴訟では、Appleのトレード・ドレス保護が認められるかが焦点となります。
たいへん気になる訴訟です。