『院政 増補版 もうひとつの天皇制 (中公新書) 』(美川圭 (著)  中央公論新社 (2021/4/25))

日本中世史の幕開けは、現在では鎌倉幕府成立ではなく、院政のスタートとする学説が一般的だという。
平安時代という「静止」「停滞」していた時代が「胎動」を始めた院政期をスタート地点とする考え方には確かに納得できる。
本書では、幾人かの上皇(法王含む)にスポットがあたるが、特に印象深いのは、白河法王、後白河法王、後鳥羽上皇の3人についての記述である。いずれも、「癖の強い」人物だったことが読み取れる(歴代の大河ドラマでも、この3人の上皇・法王は、癖のある名優たちが演じている)。この3人に後醍醐天皇を加えて、4人の比較表を作ったら、さぞ面白いだろうと、読みながら、ワクワクさせてくれた一冊である(ただし、新書としてはちょっと厚めです)。
おすすめ度(★★★)

(次回に続く)