3〜4月はシェイクスピアをはじめとするイギリス文学を乱読(シェイクスピア『ハムレット』「リア王』『マクベス』『オセロウ』『ロミオとジュリエット』『ジュリアス・シーザー』『ヴェニスの商人』/バイロン『カイン』/ワイルド『サロメ』/ゴールズワージー『林檎の木』『小春日和』)。

本当は、オースティンの『高慢と偏見』に進む予定が、つい、ロシア文学に浮気。人生で初めて、トルストイを手にとって見た。2大主著である『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』ではなく、最後の長編小説となった『復活』である。



前半(第一部)はやや退屈だったが、第二部・第三部と引き込まれた。よくもまあ、一人の人間(著者)は、こんなに複雑な登場人物の葛藤を描けるものだと感心してしまった。そして、結末も、私にとっては意外なものであり、意外な幕切れだった。

金峰山の山小屋で読み始めたから、読了まで約1ヶ月かかったが、大変満足した。

翻訳者の藤沼貴先生は早大で長きに渡りロシア文学についての教鞭をとられた方で、NHKのロシア語講座の講師も勤められていた。トルストイの研究では第一人者であり、初学者向けのトルストイ入門書も多数執筆されているようなので、いずれ読んでみたい。藤沼先生のとてつもない業績の一つは、「独力で」、『研究社和露辞典』を編まれたことである。ありえん…一人で辞書を作る…ありえん…^^;

奇しくも、ロシアという国についていろいろ考えさせられる時期だが、この美しい小説が生まれた国と、現在報じられているように侵略行為を正当化する国とが、同じ国だとはどうしても思えない。
本書を読み終えて、率直にいまそう感じている。