次は、「目的論」です。
アドラー心理学においては、全体としての個人は必ず目的をもって行動すると考えます。ここで、目的とは、生物学的目的(個体保存と種族保存)、社会学的目的(所属)、心理学的目的(その人らしい所属)の3つがあります。
アドラーは、「~だからできない」という原因論に基づく言い分は一切認めていまえん。それどころか、トラウマさえも否定します。
たとえば、「嫌な上司がいるので、会社に行きたくない」(原因論)と考えるのではなく、「会社に行きたくない」という目的を達成させるために、上司の行動を理由にすると考えるわけです。
「会社に行きたくないから、嫌な上司だという理由を創りだした」とみなすわけです(目的論)。
はじめて、アドラー心理学を学んだとき、一瞬違和感を感じつつ、よく考えると、「ああ、なるほど」と思ったものです。
ただ、トラウマの場合も動揺にすぎないという考え方には、戸惑いを覚えたりもした。
トラウマの否定の事例としては、赤面症の話が有名でしょうか。
アドラー心理学では、赤面症で悩む患者が「赤面してしまうから、告白できない」と言うのに対して、「告白したくないから、赤面になっている」と説明すると考えるわけですよね。