アドラー心理学は、別名、個人心理学ともいい、アドラーが創始し、その後継者たちが発展させた心理学の理論の名称であり、もう少し厳密に申し上げれば、思想と治療技法の体系の指す用語です。

アドラーは、個人(individual)を、「in(=not) + L.dividuus(=devisible 分けられる) + al(の性質)」、つまり「分割できない存在」であると考えていました。
ですから、アドラー自身は、自らの心理学を、個人心理学(Individual Psychology)と呼んでいました。

しかし、個人を細かく分析したり個人のみに焦点を合わせたりするように誤解されやすいため、わが国では、アドラー心理学と称されることが多いわけですね。

アドラーは、「人間を理解するのは容易ではない。個人心理学は、おそらくすべての心理学の中で、学び、実践することが、もっとも困難である」と述べています。

決別したフロイトの精神分析学の亜流や改変ではなく、むしろアンチテーゼとして彼の心理学は成立しているのです。