國分先生によれば、カウンセリングの根源は3つあるといいます。①今世紀初頭の職業指導運動、②精神衛生運動、③教育測定運動です。これら3つが合流してカウンセリングという分野が形成されたわけです。

國分康孝教授は、カウンセリングとは「言語的および非言語的コミュニケーションを通して、健常者の行動変容を試みる人間関係である」と定義しています。

この定義のポイントは以下の3点に集約できます。

① カウンセリングは言語のみならず「非言語的な要素」が非常に大きいこと。
② カウンセリングの目的は、クライアントの「行動変容」であること。
③ クライアントとカウンセラーの「人間関係」が重要であること。

カウンリングに似ているものが2つあります。
ひとつはサイコセラピー、もうひとつがソーシャル・ワークです。

サイコセラピーは、病理的なパーソナリティの変容を狙いとするものですが、カウンセリングは問題を抱えた健常者を対象としている点に違いがあります。

ソーシャル・ワークは公的扶助など、現実的・具体的援助を考える概念です。カウンセリングは、概して面接室の中だけのやりとりが中心となります。

1980年代になるとカウンセリングの実現形態が多様化していきます。

初期のカウンセリングは、特定個人に焦点を合わせていましたが、現在では、家族、集団、コミュニティへと援助対象が拡大しています。

当初は治療や問題解決法(治療型カウンセリング)が関心事でしたが、これも変化し続け、その後のカウンセリングは予防・教育的なアプローチ(開発的カウンセリング)にも関心がもたれるようになりました。

従来、クライアントと直接コンタクトをとるのが普通でしたが、現在では、文書、スライド、講習、集団体験など、方法も多様化しています。