ビジネス書ではなく、科学書の範疇に入る一冊ですが、本書で扱われている暗号は、現代の情報工学における最重要概念の一つです。
携帯電話も電子メールもSNSも、暗号があってこそ成立するしくみ。
その歴史を丁寧に紐解いてくれるのがこの1冊です。
サイモン・シンは、私が最も好きな作家の一人です。難しい物理の世界の話を非常に平易な形で紹介してくれます。訳者の青木薫さんもすばらしい。この方の訳なら即購入!というのが、私の判断基準になっています。
AIブームになるはるか前の著作ですが、コンピュータの歴史についても学ぶことができます。
エニグマやチューリング・モデルといった懐かしいキーワードに触れることもできます。
公開鍵の概念についての説明も非常にわかりやすいです。

余談ですが、サイモン・シンの科学書3羽カラスは、本書ならびに、『ビッグバン宇宙論(宇宙創成)』『フェルマーの最終定理』です。仕事で使ったことはありませんが、ふとした機会に読み返すことが多いいずれもが名著です。『竜馬がゆく』『峠』『世に棲む日日』と同じレベルのおもしろさです笑