手帳指南書の多くは、手帳と付箋の併用を肯定しています。
私の友人の中にも、手帳と付箋を併用している方々は多いです。
手帳の話はさておき、付箋はとても便利なビジネス・ツールです。
会議、研修、集団でのワークショップ、アイディア出し、読書の際の栞、書籍や書類の校正… 使用局面が非常に多い文房具・事務用品です。
しかし、殊、手帳との併用となると、私は手放しでは賛成できません。
既存の指南書によれば、手帳と付箋を併用する主なメリットは以下のようにまとめることができます。

① 流動性のある予定などは付箋に記しておけばよい。予定変更があれば、付箋を移動させることにより、消し込みや転記をせずに、迅速に処理することができる
② 付箋紙を用いて、TODOリストを作っておけば、優先順位(重要性・緊急性)変更を柔軟に行うことができるし、完了したタスクは簡単に削除することができる

確かに合理的なメリットです。しかし、付箋の欠点である「落下・紛失リスク」について書かれている指南書はごく一部です。多くの書籍では、手放しで、付箋を併用するメリットだけが述べられています。
会議や研修といった閉ざされた空間の中で、特に、机の上など地球の重力を無視できる状況の下では、付箋は安心して使うことができます。しかし、外出先に持ち出すことが前提である手帳に付箋を挟み込む行為は、高いリスクを抱えています。

① 落下・紛失した付箋から重要なビジネス情報が流失してしまうリスク
② 落下・紛失した付箋に書かれていたスケジュールを失念し、関係者に多大な迷惑をかけるリスク
③ 落下・紛失した付箋に書かれていたアイディアを失念し、ビジネス機会を失ってしまうリスク
④ 落下・紛失した付箋に書かれたアイディアを失念しながら、失念したこと自体に気づかず、忘却してしまうリスク

多くの企業で、電子データの持ち出しや流出に対して目を光らせ、監視体制を強化されていますが、従業員が付箋紙を気軽に手帳に挟み、落下・紛失リスクを抱えたまま、外出する行為については無頓着なままだというのは、バランスを書いているかもしれません。

情報流出リスクも怖いのですが、スケジュール忘れやアイディアの喪失につながるのはもっとおそろしいです。
見栄えは悪くても、スケジュール変更は、変更前を二重線などで消し込み、新たな予定を書き込むという週間のほうが安全でしょう。
アイディアについては、目の前に付箋しかない状態を除き、必ず、正規の手帳やノートに書き込み、アイディア自体が紛失するリスクを最小限に留めるべきでしょう。
会議や研修で出たアイディアも付箋紙のまま長期保存する習慣は避け、パソコンに入力する、ノートに転機する、撮影してしまう等、紛失リスクを軽減する処置を施すべきです。

「付箋紙は便利なツールだが、手帳との併用については慎重な姿勢が望ましい。重要情報の書き込みは控え、固有名詞を記号化するなど、万が一落下・紛失した場合にも情報が流出しないよう万全な工夫が必要である。スケジュール管理に付箋紙を使うことはできるだけ避け、アイディア出しなどで付箋を使った場合にもその付箋をそのまま手帳に挟み込むことは避け、撮影するなど紛失リスクを軽減する処置を施し、処分するべきである」
というのが、付箋のスタンダードな使い方です。