先日の研修で、ある方からご質問をいただいた。
本日の戦略論の講義、実に興味深いのだが、自分は、まだ、全社戦略や事業戦略に口を出せる立場にはない。
その場合、やはり、手をこまねいてみているしかないのか?
なるほど。
お気持ちはわかります。
会社の規模が大きくなればなるほど、出る杭は打たれるもの。
なかなか、戦略だの変革だのと声を上げることができないものだと思います。
でも、方法はあります。
たとえば、こんな方法。
① 社内で脚光を浴びていないマイナー商品についての企画を立ち上げる
② この企画を通したら、一心不乱に、このマイナー商品の販促に注力し、結果を出す
③ 成功したら、また、①に戻る
という単純な方法です。
この方法のメリットは次のとおりです。
① マイナー商品に力を入れようという同僚は少ないので、社内競合を回避できる(新製品だの、花形商品だのは、「私にやらせてください」という輩が多く、なかなか担当できない)
② マイナー商品の拡販計画には、関心の高い人は少ないので、外野だの評論家だのという方々が口を出す確率が低い(新製品だの、花形商品だのは、「こうやったらどうだ」「こうすべきだよ」とやたらと口を出され、いつの間にか、本来の企画の方向と違う方向でビジネスを展開せざるを得なくなります。おまけに、失敗しても、彼ら外野・評論家は知らんぷりを決め込みますから、すべて、「あなた」の責任になります。これは割に合いません)
③ マイナー商品には上司も関心が薄いので、そもそも企画そのものが通過しやすい(決済されやすい)
④ マイナー商品ゆえ、失敗しても、「あなた」の被るペナルティも小さい(「頭を掻いて済ます」ことが許される可能性が高いです。メジャー商品でコケると、飛ばされます笑)
⑤ マイナー商品ゆえ会社の期待度は小さいので、成功すると、思った以上に評価される(いわゆる「希求水準」が低いので、ちょっとうまくいっただけで、「以外だったなあ。今回のキャンペーン」と注目されます。社長賞は無理でも、社内報でピースサインした写真とともに小さな記事になる可能性はあります。これがメジャー商品だと、うまく行って当たり前、うまくいかないと責任問題になります)
はい。
この通り。
「自分を売り込むなら、マイナー商品」
がベストです。
決して、花形商品の担当を買って出てはいけません笑
それでも。
ちりも積もれば山となります。
繰り返し、何度も、マイナー商品のキャンペーンを成功させれば、「あなた」の株は少しずつあがっていきます。
しかも。
マイナー商品での成功ですから、メジャー商品派の方々(おそらくは社内の主流派)の妬みを買う心配はありません。
(おそらくは、歯牙にもかけないはずです笑)
安心して、マイナー商品という小さな花を開花させる仕事を続けることができます。
しかし、「あなた」の評判は、社内で静かに、まるで、ボディ・ブローのように高まっていきます。
「あいつ、何を扱っても成功させるな」
いつの間にか。
何かはじめるときには、「あなた」の意見が求められるようになります。
そして、「あなた」が意見を述べても、多くの人は反論しません。
いや、できないのです。
「こいつ。地味なやつだと思っていたが。言葉に重みがある」
「なんだかんだいって、こいつのやってきたこと。それなりに当たっているからな」
というムードを作ることができるのです。
この戦略。
一種の「外見的非合理性」…「一見すると合理的じゃないようにみえるので、ライバルが参入してこない」という特性を持っています。
「そんな商品、ちまちま扱って何になるの? 出世したいなら、メジャー商品のプロモーションで成功しないとね」
こういう一攫千金的志向の同僚にとっては、この戦略は、一見およそ合理的ではないわけです。
だからこそ。
「あなた」の独壇場になるわけですよね。
早ければ1〜2年。長くても4〜5年。
この戦略を貫けば(もちろん、各々のキャンペーンは成功させることが前提ですが)、「あなた」の社内での発言力はかなり大きなものになります。
事業戦略を策定するプロジェクト・チームのメンバーに推挙される可能性も出てきます。
ですが。
何よりも。
この戦略。
「あなた」自身が楽しく仕事ができるはずですよ。
モチベーションの主要要因である「自己決定感」を思いっきり感じることができますからね。
私は、自らが社内・社外に自分の名前を上手に売り込んでいく手法のことを
「セルフ・ブランド・マネジメント(SBM)」
と呼んでいます。
(小冊子を作成したことがあります。こちらからダウンロードできます)
https://www.dropbox.com/s/r3f9f825wcs7xsq/%E3%81%82%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%AB%E3%81%9D%E3%81%A3%E3%81%A8%E6%95%99%E3%81%88%E3%82%8B%EF%BC%B3%EF%BC%A2%EF%BC%AD%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98%EF%BC%88%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%EF%BC%89%20.pdf?dl=0
今回ご紹介した戦略は、主に社内営業を中心にSBMについて考えなければならない方向けの方法論です。
興味のある方は是非、試してみてください。