最近、大分、市民権を得てきたなあと思う

「電子書籍」

皆さんはどうお使いでしょうか?

初期の頃、私も、Kindleの存在を絶賛して参りました。

欲しい本を瞬時に入手し(配送にかかる時間がないから)、文字のサイズを端末別に自由にコントロールでき(それゆえ、iPhoneのような小さな端末でもほぼノーストレスで読める)、端末間で同期されるからどの端末からでも読みかけの箇所から続きを読める!

夢の書籍ですよね。

でも、やっぱり、現在の電子書籍は不完全です。
今日はがっつりと駄目だししてしまいましょう。

駄目だし1:Kindleはなぜパソコンで読めないのか
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多くの方が感じているでしょうが、KindleはMacでは読めません。Windowsでも読めなかったはずです。
あ、特殊な方法で読めるのかもしれませんが、普通は読めません。少なくとも、私の周りにいる友人たちはその方法を知りません。
これは非常に困ります。
本来、iPhoneやAndroid携帯、iPadでできることは、上位概念であるパソコンやMacでは全部できて欲しいのですが、その

「数少ないできないこと」

が、

「Kindleで購入した書籍を読めない」

という点ですね。

AppleのiBooksは、この点では、Kindleより優れていまして、少なくとも、Macでは読めます。WindowsパソコンとAndroid端末を使っていない私個人としては問題ありませんが、本来、

「どの端末でも読める」

が基本じゃあないでしょうか。
少なくとも、LINEも、Dropboxも、Evernoteも、Twitterも、Facebookも、端末の区別なく使えるサービスですよね。
どうして、電子書籍だけがそれをしないのか?
不思議でなりません。

駄目だし2:検索ができない
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ご存じの方も多いと思いますが、私は、ビジネスで使う書籍については、徹底的な

「自炊派」

です。
大型の専用カッターで、書籍の背を落とし、富士通のScanSnapS1500という「神」スキャナで取り込み、OCRをかけ、PDFとして、Dropboxに保管しています。
これにより、パソコン、Mac、iPad、iPhone… いずれの端末であっても、必要な書籍の内容に瞬時にアクセスできるようになっています。

OCRをかけてありますから、ハードディスク(実際はSSDですが)内の全文検索が可能。

「ドラッカー マーケティング 定義」

といった複数のキーワードを入力すれば、本文にそれら3つのキーワードを含む書籍を瞬時に発見できます。

ところが。
電子書籍ではそれができません。
仕事で使う専門書を一旦、iPadに保存しても、その中身をキーワード検索できない…
しかも、前述したとおり、パソコンやMacでは読めないわけですから、検索すらできない。

「Kindleで買った書籍は仕事では使えない」

というのが結論です。
ほしい情報が見つからないのでは、お話になりません。

駄目だし3:「ポケット1つの原則」に違反する
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情報というのはとにかく1箇所に集めておくことが大切です。
電子データだろうが、書籍だろうが、書類だろうが、基本はいっしょです。
分散すると、いろいろ探さなければならなくなるからです。

「あの資料。会社だっけ。自宅だっけ」

苦労した経験は誰にでもあると思います。情報は分散してはならないのです。

ですから、私の場合、仕事で使う情報は、Dropboxに一極集中しています。もちろん、電子データの場合限定ですが。
それにより、

「Dropboxになければ、探しても無駄。他の方法で(たとえば、人に頼んだりして)、再入手する方法を考える」

という迅速な行動が取れるのです。

「あるかないかわからないが、とりあえず探してみる」

という無駄な時間は大嫌いです。「存在定理」はルーティンワークにおいてこそ、重要な真理なのです。

データは一箇所に…という原則を、早大の野口悠紀雄教授は、

「ポケット1つの原則」

と呼んでいます。実にわかりやすい比喩ですよね。
私もこれを徹底するためのしくみを作り上げてきました。

ところが。
電子書籍はそれに反するシステムなのです。
購入した書籍をDropboxなり、Evernoteなりに(人によってはEvernoteで「ポケット1つの原則」を実現している方もいらっしゃるでしょう)、格納することはできません。
著作権の問題なのでしょうが、何せ、電子書籍のコピーやペースト、データ全体の移転等は著しく制限されますからね。

「ああ、仕事には使うなということか」

と鼻白んだ瞬間です。

個人が簡単に自炊システムが構築できる時代に、こういう

「万里の長城」

のような

「抜け穴だらけの規制」

に何の意味があるのでしょうね。
有料でも良いから、PDF化して(別に他のファイル形式でも良いですよ。全文検索できれば)、パソコンに保存できるしくみがなければ、意味がありませんね。

加えて、IbookやBookStand等、Kindleと違う

「書店」

で買った書籍は、これまた全部、別な電子的な

「書棚」

に格納されていきます。
恐ろしく不便です。
せめて、全世界の電子「書店」で規格を統一するか、せめて、ファイルや情報の移動ができるようにしておいてほしいものです。
でないと、

「書店の数だけ書棚が必要」

ということになります。
iPadの画面は、

「書棚」

だらけになります。

「ポケット1つの原則」

など、遠い理想となってしまいます。

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いかがでしたでしょうか?
一見すると、便利で革命的に思える電子書籍ですが、まだまだヨチヨチ歩きであることがよくわかりますよね。

駄目だし1:パソコンで使えない
駄目だし2:検索できない
駄目だし3:情報を一箇所に格納できない

これではダメですよね〜

というわけで、手間はかかるものの、仕事で使う可能性のある書籍、参照や引用の可能性の高い書籍は、依然として、

「自炊」

がベストという選択肢になります。
ベストどころか、電子書籍は、

「(大衆小説やコミックを)一度だけシーケンシャルに読む」

ことだけを前提に作られている超機能現敵的システムであり、今のところ、拡張性・汎用性はまったく期待できません。

「仕事には使えないシステム」

なのです。