最近、周りでスマートフォンを購入される方が増えてきました。
今月号の『日経トレンディ』にも特集が組まれ、昨日もある金融機関の方々とランチをごいっしょさせていただいたのですが、

「そろそろスマートフォンにしたほうがいいでしょうか」

というご質問を多数頂戴いたしました。

雑サロ(ビジネス雑談サロン)でもよく話し合うこのテーマ。
実際のところはどんな感じなのでしょうか。

結論から申し上げれば、こと、通常のビジネスの局面に限って申し上げれば、

① ノートPCやタブレットPCを持ち歩いていない方の場合

スマートフォンは非常に有効なツールになります。ノートPCやタブレットPCが持っている機能の70%くらいを片手サイズの「携帯電話」に詰め込んでいるわけですから、便利にならないわけがありません。
欠点は、通話料が高くなること、初期の段階でインターフェイスに戸惑うこと、そして忘れてはいけないのが、電池を食うこと(すぐに空っぽになります)。

② ノートPCやタブレットPCを持ち歩いている方の場合

スマートフォンはそこそこ便利なツールになります。ここでは、「ノートPCやタブレットPCを持ち歩いている方」=「通信手段も持ち歩いている方」と仮定して話を進めます(通信手段がないまま、ノートPCやタブレットPCを持ち歩いている方は稀だと思いますので…)
前述したとおり、スマートフォンは、早い話が、ノートPCやタブレットPCの機能の70%程度を「携帯電話」にむりくり詰め込んだ簡易PCですから、ノートPCやタブレットPCとは基本的に機能はかなり重複します。

「スマフォを買ってみたけど、思ったほど便利とは思えない」

という方は、②のパターンが多いのです。

私自身が、かつては、

「MacBook Airとらくらくフォンがあれば、それで十分」

という内容でブログを書いたことがあります。

http://eiseikanri.biz/wp/takenaga/未来予想の難しさ「macbookairはiphoneを駆逐する」/

軽量で数秒で立ち上がるMacBook AirやウルトラモバイルPCがかばんの中に入っていれば、それほどスマフォに頼る必要はないわけで、多少不便はあるものの、決定的な打撃…

「スマフォがないから大きな損害を被った」
「スマフォがないために機会損失の憂き目にあった」

という事態は避けられるはずです。

それでも、スマフォをノートPCやタブレットPCと併用する理由は

「さらなる手軽さ」

の追求ということになります。
たとえば、私がMacBook Airを外出先で使う場合、WiMAXのルーターをオンにし、MacBook Airを立ち上げ、接続を確認し、メールを読んだり、ネットにつないだり…という作業を行います。
もちろん、片手ではできるはずがなく、通常であれば、作業は座って膝の上で…ということになります。

ところが、スマフォがあれば、多くの作業を片手で、一部両手が必要な作業もありますが、とにかく、さくっと終わらせることができます。
ノートPCやタブレットPCを外出先に持って歩かれている方がスマフォを購入して得られる恩恵の大半は、この

「さらなる手軽さ」

にあります。
つまり、必需品ではなく「贅沢品」だ…ということになります。

それでも、私はこの「贅沢品」を愛用しています。

さまざまな便利なアプリが開発され、音声入力が可能になった現在、ノートPCやタブレットPCをいちいちたちあげるのは面倒な業務が非常に増えました。
また、Googleカレンダーアラーム機能は非常に優秀で、前日と2時間前に、あらゆるビジネス上の予定を私に「振動」で知らせてくれるようになりました。
これらは、スマフォ独自の機能であり、ノートPCやタブレットPCでは代替することができない機能です。

やはり、手放すことはできません笑
「竹永さんにとって最強のアプリはなんだ?」

と問われれば、即座に

FastEverとiPhoneの音声入力の組み合わせだ」

と即答します。

FastEverとは、Evernoteの派生アプリであり、Evernoteの欠点である、アプリをたちあげてからメモを取れる状態になるまでの工数の多さをぎゅっと圧縮し、1工程でメモがとれる状態にしてくれる優秀なアプリです。アンドロイド版がないと伺いましたが、これは誠に残念なことです。
そして、立ち上がったFastEverの画面に、思いついたことをどんどんどんどん喋っていけば、これがすべて「文字情報」に変換されます。これが、「iPhoneの音声入力」機能の凄さです。
この両者のタッグチームこそ、アイディアの消滅を最小限に抑える究極の組み合わせであり、当分手放せないであろう、ビジネス上の最重要ツールになっています。

コンサルタントというのはアイディア勝負ですから、生じたアイディアをすべて文字にしておこないと、ろくに眠ることもできないのです(気が気でない)。

「音声のままでもいいじゃないか」

という方もいらっしゃいますが、これは違います。
音声メモは、実は余り役に立ちません。
あとから、検索できないからです。

「検索できないメモはメモではない」

というのが、私のモットーですから、紙のメモ帳が数百冊になったとか、新聞切り抜きのスクラップブックが本棚いっぱいになったとか…という「仕事の達人」的な雑誌記事を見て、

「で、これをどうやって使うんだ?」

と常に首をかしげてしまうのです(以前にも申し上げましたが、趣味の世界であれば、何ら問題ありません。一再検索のできない「アナログレコード」「レーザーディスク」を3,000枚ちかく保有している私ですからね)。

もう一つのアプリが、このところ、やたらにご紹介しているiMovieですね。
動画編集アプリ。
ま、21世紀初頭最大の発明ではないかと…(大げさですがね笑)

詳細は、実際に私の作成した動画をご覧いただければわかるわけです。
これらの動画、ほとんどは、

「京浜東北線の中で、立ったまま編集している」

ものです。

5分もので、素材数が20程度であれば、帰りの電車で

秋葉原⇒赤羽

の間に編集が終了し、

赤羽⇒南浦和

では、確認のためのチェック視聴ができてしまいます。

小学校低学年の方でも使い方を覚えることができるレベルです。

「動画編集アプリは今までにもたくさんあったじゃないか」

そのとおり。
でも。
でもですよ、残念ながら、

「買ってみよう」
「使ってみよう」

と思えるインターフェイスのアプリは存在しませんでした。
ビデオカメラやデジタルカメラを購入すればかならず1つは付属アプリとして付いている動画編集アプリ。
95%の人は開封すらせず、4%の方は開封してインストールして挫折…というのが実情だったのではないかと思います。

さらに。
このアプリ。
ノートPCについているわけではありません。
スマフォに直接ついています。
ということは、撮ったその場で、編集を開始できるのです。
ビデオカメラやデジカメで撮ってから、データをPCに移し、それを読み込ませ、動画編集アプリを開いて、編集し、それをネットにアップする…
とてつもない工程! できなくはありませんが、週に1本はとても無理。月に1本、いやいや、だんだん面倒になり年に1本…となってしまうわけです。
とにもかくにも、

「面倒」

だったのです。

5分モノの講義動画を収録する際の標準的なタイム・スケジュールですが、

シナリオ作成5分、リハ5分、収録5分、編集10分、視聴5分、アップロード15分

…いかがでしょう。
最大限多めに見積もっても45分
最後のアップロード中は別な作業ができますから、作業時間は30分です。
これは画期的ですよね。

「スマートフォンを購入したのですが、全然使いこなせていないのです」

とおっしゃる方は多いのですが(おそらく、半分以上の方がそう思っていらっしゃいます)、パソコン(ハード)でも、MicrosoftのOffice(アプリ)でも、搭載されている機能の100%を使いこなしている方がほぼいらっしゃいません。電卓ですら、使わない機能があります。
重要なのは、パレート分析。よく使う機能、自分にとって必要な機能を見極め、それについてだけはしっかりと知識を補充しておけばよいのです。
電話のかけ方、電話帳への登録方法、メールの送受信方法、Webの見方、カレンダー機能の使い方、時計・アラーム・ストップウォッチ・タイマーの使い方、天気予報の味方、乗換案内、地図、写真のとり方、写真の見方、メモの取り方(テキスト、音声)、SNSへのアクセス方法(Twitter、Facebook等)、動画の見方。
多めに考えても概ねこんな感じですか? それより少ない機能しか使っていなくても、十分に「使いこなしている」うちに入ります。

覚えるのに2週間もあれば十分ではないかと思います。
ちなみに私はiPhone3G発売当日から使っているので、最初の2ヶ月間は

「地獄」

でした。誰も周りに教えてくれる人がおらず、書籍や雑誌も出まわってはおらず、アメリカで先行発売され、それを購入し、使用している方の記事だけが便り… 本当に苦労しました。
でも、今は大丈夫。情報は溢れかえっています。

最後に、iPhoneをお使いの方に、私のお勧めアプリをいくつかご紹介しておきます。
私の場合、あくまでもビジネスでの使用を前提としていますので、その点はご了承ください。

1.「懐中電灯」
iPhoneのカメラ用フラッシュを常時点灯させることにより、強烈に明るい懐中電灯を実現。これにより、MAGLITEのようなミニ懐中電灯を持ち歩く必要がなくなった。どこで使うか? クルマの中や暗い場所でかばんの中を検索する際に必須。実に便利。女性の場合、防犯にも役立つかもしれない。

2.「日経電子版」
巨大な紙を折り曲げて読む…という地球という惑星で独自の進化を遂げた紙媒体としての新聞には
常に首をかしげてきた私だが、ようやく理想のアプリに遭遇。初期の頃に比べてインターフェースもよくなった。もう、電車の中で紙を広げなくて良くなった。

3.「CamScanner」
あらゆる「白い四角」を自動認識・自動補正してくれる究極のスキャン・アプリ。ホワイトボード、レジュメ、メモ用紙、レシート… 白い四角ならなんでも来い!という超スグレモノ。もっと早くから使うべきだった(類似のスキャナー・アプリとは似て非なる別格的存在)。有料版と無料版があるが私は有料版しか試していないm(_ _)m

4.「Facebook」
使い勝手は最悪だが、写真や動画の投稿は、Safariからはできないため使用。なんとかしてほしい_| ̄|○

5.「Twitter」
可もなく不可もなく。Twitterに投稿するために使用。

6.「元号」
この仕事をしていると、書き物をしているときに、「平成」と「西暦」がごっちゃになることがある(引用文献が違う場合など)。それを後から修正する際に、このアプリがあると便利である。「宇宙暦」「帝国暦」「宇宙世紀」などが表示されないのが残念笑

7.「GoodReader」
『コトラーのマーケティング原理』という900ページを超える文献をカラースキャンしたPDFデータであっても、特にストレスなく開くことができる究極のPDFリーダー・アプリ(それ以外のファイル形式の文書も読める)。実際には、iPad版を使うことが圧倒的に多いが、客先や受講生さんからの突然の質問があった際にも、自炊書籍に関するデータであれば、GoodReaderを使って調べることが理論上可能になった。過去問題検索などにも大活躍(中小企業診断士の過去11年分の試験問題はいつでも見られるからである)。
Dropboxと連携できるので、Dropbox内の資料を、iPhoneのDropboxアプリで開くことはなくなった。GoodReaderのほうがリーダーとしてははるかにすぐれているからである。

8.「Amazon」
Amazonでのショッピングが可能。いちいちパソコンを立ち上げる必要がなくなった。

9.数種の辞書アプリ
「大辞泉」「ウィズダム」「日本史小事典」「世界史小事典」「英文法」を入れてある。「模範六法」は2009年版を最後に更新していない。電子政府の「法令検索」で代替できるからである。
「広辞苑」は効果な割に評判が悪いので見送っている。いつか購入したい。

10.「乗換案内 Yahoo!ロコ」
「乗換案内」から乗り換えてしまった。最強の乗換案内アプリ。音声入力でき(【例】「南浦和から飯田橋」等口頭でしゃべればすぐに検索してくれる)、検索速度も早い。途中駅も表示できるので「今どのあたりなのか」がすぐにわかるし、「降車アラーム設定」ができる。乗り過ごす心配がなくなる。また、「東京ドーム」「東京タワー」といったランドマークの指定による経路検索にも対応。これまたすごいアプリの登場である。

11.「Evernote」
説明不要のメモとりアプリ。ネットで調べて、iPhoneのSafariでもWebクリッピングができるようにしてある(不完全だがないよりまし)。
前述したとおり、派生アプリ「FastEver」音声入力との併用でさらに便利に。

12.「iMovie」
前述したとおりの神アプリ!

以上からもわかるように、メール、カレンダー、天気予報等は標準アプリを使用しています。

① メールについては、MicrosoftExchangeサーバー経由でGmailを登録し、プッシュメールとして使用。
② カレンダーもGoogleカレンダーと連動。自分、会社、家族のカレンダーが常に重ねあわせて見られるようになっている。
③ 天気予報はいろいろ試したが、サッと見られる標準タイプに戻った(それまでは「Weathernews」を利用していた)。

時計、電卓やYouTube閲覧アプリについても標準アプリを使用しています。

他にもいろいろ購入しましたし、ダウンロードしましたし、実際に使用しましたが、ビジネス上今も継続的に活用しているのは、結局これらのアプリのみ。

要は「パレートの法則」

「ダウンロードしたアプリのうちの2割で8割の仕事をしている」

のです。