これからの能力開発はどうあるべきか・・・ちょっとまじめに考えてみました。
PDF化してありますので、一度、ご覧になってみてください。 下記URLよりダウンロード可能です。
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1.基本的考え方(ヒューリスティック型研修への移行)

弊社が能力開発として最も重要と考えるのが、従業員の「意欲と創造性」です。

一般的に能力開発の手法のタイプは、「アルゴリズム」「ヒューリスティック」に大別されます。両タイプの概要・特徴を以下に示します。

図表1:能力開発の2分類(アルゴリズムとヒューリスティック)

アルゴリズム

ヒューリスティック

定義

既存のやり方を単純にトレースする方法 新たな 決方法を見つけるために既存のやり方から離れる方法

効果

短期的・定型的・業務的意思決定に関する問題を解決する際に役立つ 長期的・非定型的・戦略的意思決定に関する問題を解決する際に役立つ

研修の 要件

対象

新入従業員 中堅従業員 専門知識を学ぶ必要のある階層 上級管理者 中級管理者 中堅従業員

目的

知識の吸収・習得 定型的業務のノウハウの習得 創造力の醸成 革新的な業務に必要なノウハウの習得

講師

正確な知識を短時間で効率よく伝えることができる講師 創造性・柔軟性に富み、ファシリテーション能力にあふれ 講師

手法

事前課題、講義法、演習、迅速かつ丁寧なフォローアップ、研修効果追跡シート 動画事前講義、講義、アクション・ラーニング、ワールド・カフェ、ホワイトカフェ、レター・フォー・マイセルフ法、レター公開システム、異階層研修間シンクロ・システム、研修効果追跡シート

本システムにおいては「ヒューリスティック型研修」への重点化を図り、受講した従業員の創造性を引き出し、高める支援を推進することを基本的な考え方とします。

2.  研修技法の特徴(フロー状態の創出)

企業や組織における研修の技法として、従来はグループ・ディスカッションやロール・プレイといった参加型・対話型手法が効果的とされてきました。

しかしながら、これらが普及・一般化した昨今では、参加型・対話型は当たり前のこととして、「受講者がどこまで深く関心を持ち、意欲的に参加できるか」が技法として問われるようになっています。

従って、御社が求める改革へのチャレンジ意欲あふれる従業員の育成のためには、いかにして受講者が研修テーマに関心を継続し、熱中・没頭できるか、即ち心理学でいうところの「フロー状態(没頭・熱中)の創出」が、目指す創造的な人材育成のためのバロメーターになると考えます。

弊社では、「フロー状態」創出を狙いとし、主に次の6つの技法を駆使し、受講者の創造性を高めます。

(1)     動画事前講義システムの採用

研修の実施に先立ち、事前課題を設けるスタイルの研修は少なくありませんが、その多くが「研修当日までに○○○について調べてくるように」というような講師からの一方的かつ高圧的な投げかけに終わっているのは否めません。

これに対し動画事前講義システムとは、研修前に担当講師自らが「講師自己紹介及び事前課題」を短時間の動画でお伝えすることにより、受講者の研修に対する関心・興味を喚起することを目的とした技法です。

このことにより、受講者は、講師や課題内容に対する不安を払拭できるとともに、研修内容に対する動機づけが促され、参画意欲が高まることが期待できますし、動画等ITを駆使した研修を効果的に展開することが可能です。

図表2:事前課題の投げかけ方2態比較

(2)     ホワイト・カフェ方式

近年、参加型研修のグループ討議でしばしば採用される技法のひとつに、「ワールド・カフェ方式」があります。

これは、机一杯に模造紙を広げ、議論の参加者が気付いたことを自由に書き込みながらディスカッションを進めるというものです。

しかし、書き損じた際にやり直しがきかない模造紙への記入に対する抵抗感から、議論が殆ど進まず模造紙も白紙で終わるというケースも少なくありません。

弊社では、この「ワールド・カフェ方式」の課題を解決し、効果的な議論を実現するために、模造紙の代わりに携帯型ホワイトボードを使った「ホワイト・カフェ方式」を研修技法として採用致します。

具体的には、受講者各自にA4版程度の「携帯用ホワイトボード」を配布し、講師の指導に基づき、研修テーマに関するキーワードや図解、アイディアや感想を、各自が自由に書き留めながら研修を進めます。

ホワイトボードは、紙と異なり記入・消去が自由に行えるため、受講者各自が臆せず情報を出し合う研修空間が創出され、例えば口頭で行われるグループ発表よりも、研修の単位時間当たりの情報創出率・伝達率が飛躍的に向上し、効果的な情報交換が可能となります。

図表3:ホワイト・カフェ方式

(3)     5拍子型研修

従来、研修の開始から終了までは、「事前課題→当日の研修→事後課題→講師による講評」という4段階で構成されることが一般的とされていました。

この4段階構成では、事後課題に対する評価が講師と受講者との1対1で行われるため、知識の獲得には有効ですが、それを上回る「気付き」や「学び」には結び付きにくいという点が課題となっていました。

弊社では、この課題を解決し、事後課題の効果を高めるために、「事後課題の相互評価学習」を追加した「5拍子型研修」を採用します。 「事後課題の相互評価学習」とは、事後課題を講師にのみ提出するのではなく、参加者全員で共有し、相互評価するという学習方法です。

優れたものを投票で選定する「相互投票制度」や、他の受講者の課題について感想を述べる「相互評論制度」等を併用することで、全ての受講者がより深い気付きと学びを獲得することが可能となります。

副次的な効果としては、他の受講者から高い評価を受けた場合は高い満足感を得ることができ、自信(有能感)も高まります。更に、他の受講者の価値観・視点・考え方に触れることで、自らの見識を高める貴重な機会となり、全ての受講者に幅広い学習効果をもたらすことが期待できます。

なお、「5拍子型研修」を具体的に実践する際には、紙媒体で課題を共有すると手間とコストがかかるため、御社のIT環境を有効活用し、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)におけるグループを立ち上げて実施すれば、コストゼロでスタートすることができます。

図表4:5拍子型研修

(4)     フォロー動画システム

従業員研修において事務事業で多忙な従業員を一定時間拘束する以上、時間内に研修を終わらせることは必須事項ですが、議論や発表が白熱した際には、一部の研修課程を、積み残したまま、あるいは簡易な説明を加えたのみで急いで研修を終了させてしまうことも少なくありません。

時間厳守は必須ではあるものの、これでは期待された研修効果が損なわれることが懸念されます。

そこで、弊社では、研修終了後、必要に応じて「補講」を収めたフォロー動画当日別室で、あるいは後日収録し、御社にご提供します。

このフォロー動画は、後日社内LANや共有のWEBページ、また、可能な場合は、YouTube等にアップロードしていただくことで、受講者が時間の制約を受けずに、より深く自ら学習できるほか、途中退出を余儀なくされた従業員にとっても有効な情報提供とすることができます。

図表5:フォロー動画システム

(5)     LFM(レター・フォー・マイセルフ)法

研修で学んだことに心を動かし、自らの事務事業にしっかり活かすことをその時は決意した受講生であっても、職場の状況によっては日々の業務に忙殺され、学んだことを実践しないままになってしまうことも懸念されます。

LFM法とは、学んだことを継続的に心に残す技法のひとつであり、自らに対する宣言を、将来の自分にあてた手紙として残していただくというものです。

研修後半に、「今回の研修を実務にどう活かすか」「自分自身がどう変わりたいか」を振り返り自省する時間を確保し、最後に「手紙」という形でまとめていただきます。

手紙の活用方法は研修科目に応じてさまざま考えられますが、そのまま保管し一定期間後に再読するだけではなく、自ら発表する「時間」や「場」を設けることで、自らの「決意表明」とし、書き手である受講者のモチベーションの向上を図ることができます。

例えば、動画に収録し、社内LANに公開すれば、職場の上司・同僚・後輩等への「実行宣言」にもなるほか、可能な場合はYouTube等にアップすることで、関係者の方々とのコミュニケーション促進にも寄与できます。

(6)     異階層間研修シンクロ効果の活用

複数の異なる階層研修を同時開催し、上長の研修における「決意表明(LFM)」の発表を、部下階層の従業員研修の場を借りて行うという方法です。

例えば、管理職研修カリキュラムの最後を飾る「決意表明」の発表を、同日別会場で開催している部下階層の従業員研修の一部時間を使って聞いてもらう形式を採用します。

このことにより、上司側の研修への参画意欲及び取り組み姿勢は飛躍的に向上し、部下側にとっても大きな刺激となる「異階層間研修シンクロ効果」が生まれ、部下・上司共に事務事業に取り組む上での目標が芽生えることが期待できます。

 

図表6:異階層研修間シンクロ効果