「講義やプレゼンの際にアガらないようにするためにはどうすればいいですか?」

という質問に対して、私は、

「アガろうがアガるまいがあんまり関係ない。講義やプレゼンの始まりなど誰も覚えていない。感動するエクセレントな内容が1つでもあれば、聞き手は『いい話が聞けた』と感じてくださるものだし、最後のレビューやまとめをしっかりと行えば(【例】ホワイトボードに話の全体像をチャート化する 等)、『わかりやすかった』と感じていただけるからである」

とお答えしています。

実はこれ、初歩的な行動経済学の原則である「ピーク・エンドの原則」を講義やプレゼンに応用したものなのです。
行動経済学の祖といえば、ノーベル経済学賞受賞者でもあるダニエル・カーネマンです。
彼が1999年に提唱した「ピーク・エンドの法則」とは、

「あらゆる経験の快苦の記憶は、ほとんどがピーク時と終了時の快苦の度合いで決まる」

というものでした。

私たちは自分自身の過去の経験を、ほとんど完全に、

① そのピーク時にどうだったか(【例】嬉しかったか、悲しかったか、おもしろかったか、つまらなかったか)
② それがどう終わったか(【例】最後は嬉しかったか、悲しかったか、おもしろかったか、つまらなかったか)

だけで判定する、という法則です。

だとすれば、

① 研修の山場でどんなエクセレントな内容が(たとえ1つでも)聞けたか(内容面のピーク)
② 研修の最後をどう演出するか

で、研修の評価も効果も大きく変わってきます。

逆にいえば、イントロでアガったとか、つかみを失敗したとか…長時間の講義・プレゼンになればなるほど、相対的には「どうでもよいこと」「無視できること」になるわけです。

以前に動画でこう話していた私ですが、最近では、

「あがり防止という自己満足のために最初の3分を暗記するくらいなら、次回のオーダーにつながるかどうかの瀬戸際である最後の3分を暗記すべし」

と申し上げることが多くなりましたが、その理由も同様です。

 

というわけで、これから講義やプレゼンを担当される皆さん!

「アガリ」

など恐れずに、堂々と演題・ステージ・教壇・舞台にお上がりください。
スポットライトの明かりが心地よく皆さんを迎えてくれます。