<前回より続く>

⑤ 勉強会開催のための具体的準備
 ここでは、仮に3つのマッチングが見つかり、3回の勉強会が開催できるめどが立ったとしましょう。責任者が、第一にやるべきことは、①日程の調整、②講師との調整、③開催場所の調整、④開催の告知、⑤受講希望者の出欠確認、⑥教材の手配…等の開催に向けての事務作業です。

⑥ 開催不可能テーマについての告知
 第二に、残念ながら先輩チームに適任者がいなかたったために、後輩チームから教わりたいというニーズはあったにもかかわらず、開催できなかったテーマについては、その旨を説明します。永久にできないということではなくて、人事異動で教えることができるメンバーが加入された場合、あるいは、外部講師が見つかった場合には開催する可能性があることも説明すれば、がっかりはされません。

⑦ 中断の意思決定
 最後に、責任者がやるべき重要な決定があります。それは、3回の勉強会が終わったら、その後4回目、5回目の勉強会はやらないという決定を下し、告知することです。企業のマネジャーたちは、勉強会は毎週開催、隔週開催、毎月開催などのように継続しようと考えがちです。しかし、これではマンネリに陥るのは目に見えています。

 3回の勉強会が終わった後、他にマッチング項目がないにもかかわらず、自動的に4回目もやらなくてはならなくなり、適任者も適したテーマもないにもかかわらず、誰かに適当な内容で研修を依頼した場合、どうなるでしょうか。結果は最悪なものになります。教わりたいというニーズのないものを無理やり開催するわけですから、話すほうも聞くほうもおもしろいものにはなりません。

 責任者が行うべき意思決定は、「3回の勉強会が終わったのでいったん勉強会は中断します。また、人事異動などがあり新しいメンバーが加入された状態で、再開しましょう。今回はできなかったテーマにお答えできるかもしれませんので。請う! ご期待」というメッセージを発信すればよいでしょう。

 継続ではなく、断続こそ力なり。

好評のうちに幕を閉じた3回の勉強会は、惜しまれつついったん終了するのがコツです。必要に応じて、再開しても、部下や後輩から喜ばれることはあっても、嫌がられることはないはずです。断続のマネジメントの一例です。
途中で中断してしまうわけですから、失敗しにくいのも当たり前かもしれませんが、この方法の長所は、今いる先輩チームの知的財産を最大限に利用し、部署内の教わりたいニーズに可能な限り対応するという点です。コストも抑えられますし、講師役が分散しますから、責任者の負担を小さくすることもできます。