先日、ある企業のマネジャー候補者の皆様と2日間にわたり、DREAを使った問題解決手法についての研修を開催いたしました。
総勢40名近いメンバーと2日間、喧々諤々の議論です。とてもおもしろかったです。
最終日に、DREAについてホワイトボードに感想を書いて頂きました。
それがこちら! (写真はクリックしていただくと拡大します。)
百花繚乱ですね。
いろいろなご意見をいただきましたが、
「現場で使ってみたい」
という方が多くとてもうれしく感じました。
さて。
DREAをご存じない方のために、今日は、その概要をご説明したいと思います。
自治体・上場企業・都市銀行から中小企業・個人企業までさまざまな組織で用いられている手法です。
5年ほど前から、中小企業診断士の理論政策更新研修(法定研修)のメニューとしても採用していただき、全国で多くの中小企業診断士の皆さんにも手法を学んでいただいています。
もっとも、DREAは誰でもできます。高校生のアルバイトの方でも、大企業の社長さんでも、どなたでも使っていただける手法です。
ところで。
ちまたにはたくさんのマーケティング・フレームワークが紹介されています。
しかし、これらをどのように組み合わせ、どのような手順でマーケティング戦略を作り上げていくかという手順書は存在しません。
各々の理論はあくまでも独立しており、どうやって事業戦略やマーケティング戦略を作り上げていくかというプロセスはブラックボックス化しています。
弊社のDREAは、これらの理論を統合し、応用し、手順化した具体的・実践的・統合的な方法です。
でも、決して難しくありません。
パート・アルバイトの方々を巻き込んで、そのまま現場でいつでも使っていただくことができます。
DREAとは“Domain Re-definition based on Environmental Analysis”の頭文字からとった言葉で、「環境分析に基づく事業領域再定義法」と訳します。
SWOT分析、VRIO分析、5Forcesといったさまざまな環境分析を応用し(そのままは使いません)、事業の問題点・課題を的確に把握し、事業ドメインを再定義し、中期経営計画やマーケティング戦略の土台を固めるための一種のロジカル・シンキング手法です。
基本的には、次のような4段階を経て、企業の事業別戦略をドメインという形で表していきます。
DREAは経営者ご自身が自らの企業の戦略策定の際のツールとして開発したものですが、現在は広くいろいろな方に用いられています。
もっとも一般的なのが、若いビジネスマン、特に、企画や営業の仕事をされている方に愛されています。
DREAは集団的発想法がメインですから(個人でもできるのですが)、ここにある写真のように集団でわいがやしながら進めていくのが効果的です。
上記はある企業での実際のREAを用いた会議の1シーンです。
左の2枚の写真はDREAの第2段階であるAD分析の光景です。
ホワイトボードを用いて、立って行うのが一番効果的です。
Aとは、advantage つまり 会社の有利要因を Dとは disadvantage つまり 会社の不利要因を 挙げていく単純な手法です。
4分割のSWOTよりもとっつきやすく、学歴やキャリアにかかわらず、誰でもいつでも参加することができる手法です。
SWOTは参入障壁が高く、敬遠される方が多いですし、4分割さえしておけばいい…という固定観念が生じやすく、思考の停止に陥りやすいので、DREAではより汎用性の高いAD分析を採用しています。
右のゲシュタルト分析は、AD分析を受けて行われる分析です。これについては後述します。
まずは、上記のAD分析からご紹介します。
付箋紙(ポストイット等)を用いたAD分析のイメージです。
ホワイトボードがあれば理想的ですが、模造紙やA3の紙を使ってもできますし、会議室のテーブルや壁を使って行っている企業もあります。
ペンと付箋紙があれば、いつでもできる分析手法です。
100円ショップの店頭、メーカーのオフィス、工場の事務室、ショールームの打ち合わせ会議の際に、銀行での営業会議で…といろいろなところで実際に行われています。
はじめは単純AD分析から入りますが、そのあとは、派生として重畳的AD分析を行い、徐々に分析の精度を高めていきます。
AD分析が終わった後はゲシュタルト分析に移ります。
先ほど写真で見ていただいた分析です(右側の写真)。
さて、ゲシュタルトいう言葉でもけっこうですし、右上にある「ルビンの壷」というでもけっこうなのですが、耳にしたことがあるとか目にしたことがある…という方はいらっしゃいますか?
ルビンの壷のほうが有名でしょうかね。
子供のころから一度は見たことのある方が多いでしょう。
ゲシュタルトとは、ゲシュタルト(Gestalt)とは、本来「統合された形」という意味のドイツ語で、心理学の世界では、「部分部分あるいは要因要因を、ひとつの意味ある全体像にまとめあげたもの」という意味で用いられています。
DREAではこの概念を事業戦略の策定に活用するために「ゲシュタルト分析」という用語に転用しています。
人は毎日いろいろなものを組み合わせてゲシュタルトを構成し続けているという考え方です。
問題解決の糸口となるのは、ケーラーのチンパンジーの発想です。
抽出したAチーム要因とDチーム要因を比較しながら、相乗効果のあるAチーム要因同士を組み合わせ、何らかのDチーム要因を克服・改善していく…これがゲシュタルト分析の発想です。
発見されたゲシュタルト分析は、このようなシートにまとめることができます。
さて、本日はDREAにおける諸理論の使い方、手順をすべてお伝えすることはできませんが、
「AD分析⇒ゲシュタルト分析⇒ドメイン」
という流れの中で、いろいろな分析手法がヒントとして使われていきます。
紹介したのはその極一部です。
今日は、SWOT分析のような4分割でとっつきにくい分析ではなく、誰でもすぐに参加することができるAD分析に一般化・単純化・汎用化すべきであるというところを取り上げてお話したわけです。
従来からあるフレームワークをそのまま使うのではなく、汎用化・応用化してから転用する…これがDREAの特徴です。
すべての理論とDREAの4段階との関係性について説明することはここではできませんが、関係性の全体像を示すとこのようになります。
とまあ、DREAの途中までですが、概要をお話いたしますと、以上のようになります。
ただし、見よう見まねで導入すると、ほぼ100%失敗します。
ファシリテーター・サイドには、けっこう細かいノウハウがあるのです。
マイナス意見を抑制し、プラス意見を引き出すテクニック。シャイな従業員の方を相手にする場合の対応の方法等々。
DREAには次のような優れたメリット(5大特長)があります。
DREAの導入には、通常2日間の研修が必要になります(指導者・マネジャーの方向けだけ必要です。現場レベルの研修は特に必要ありません)。
事前課題と事後課題をプラスし、1〜2回のケーススタディにチャレンジしていただければ、ほぼ、その流れを理解し、実務で使っていただけるようになります。
2日間の研修の流れは、事前にお渡しし、読んできていただく3ページ程度のショートケーススタディに基づき、講義とGDとを組み合わせながら、ほぼDREAの4段階の流れに沿って、進めていくのが効果的です。
事後課題ケーススタディについては既存のものでもよいですし、有料になりますが自社の過去事例や自社取引先の過去事例を題材にした新規ケーススタディを開発することも可能です。