この2か月間、「名著を読む会」の課題図書であった組織行動のマネジメント』(ロビンス)を熟読しました。
特に、私が担当だった7章・8章・11章・12章については何度も読み、彼の思い描く集団におけるチームの役割、コンフリクトの役割については、ある程度理解できたと思います。

この本は、桑田・田尾の『組織論(有斐閣アルマ)』とよく比較されますが、一本のストーリーになっているという意味では、『組織行動のマネジメント』のほうが読みやすいでしょう。『組織論(有斐閣アルマ)』は論文集もしくはHRMのフレームワーク集のような構成になっていて、章・節間のブリッジが弱く、読み手はそこで挫折します。
もう10年近く前になりますが、『組織論(有斐閣アルマ)』を圧縮したレジュメ『組織論コメンタール』(およそ40頁)をTBC受験研究会様用に執筆したことがあります。
まとめながら、「ああ、この本には、こういうストーリーがあるんだな」というのがようやくわかりました。一見、つながりのない本書の章・節構成には、きちんとした流れがあり、それがわかると、本書の理解のスピードはぐっと早くなります。我ながら、このプロセスはけっこう楽しいものでした。
ロビンスの『組織行動のマネジメント』の場合、こういった苦労はあまりありません。ただ要約するのはたいへんですよ。無駄な文章の少ない本ですから、「削る」ことができないのです。それでも、一般論や常識論の部分はいくらか見受けられますから、これらの部分を読み飛ばし、興味のあるところだけを読んでもいいでしょう。

「名著を読む会」…次月は再びマイケル・ポーターに戻ります。座長の千種さんはいい意味で「ポーターお宅」笑! 待ってました!…という感じです。

「皆さん、次回は『競争優位の戦略』を読みたいと思います。ま、分厚いので、4か月に分けて議論しましょう」

おっしゃるとおり、「冊」という単位はあまり合理性がありません。分厚い名著はじっくりと時間をかけて読み解いたほうがよいでしょうね。

次回は9月ですから、今年いっぱいは同書と取っ組みあい…となりそうです。

もうしばらく前のことになりますが、日大のMBAで、若林助教授(現・教授)から経営戦略論についてさまざまなフレームワークや基礎理論を教えて頂きました。DREAの発想も、若林先生から受けた教えがベースになっています。
その若林先生から、在学中、

「竹永さん、ポーターの『競争の戦略』『競争優位の戦略』は読みました? 意味わかりましたか?」

と尋ねられたことがあります。

「いやいや、わからないところだらけですよ。読み飛ばしながら読んでいます」

「そうですよね。日本語訳、後半部分、やっぱり表現が難しいよね。原著のほうがわかりやすいですよ」

「はい(って、原著で読めれば苦労しないですよ)」

あれから既に10年近くたっているのですね。
久しぶりに手に取り、かつ、熟読しようと思います(以前は流し読みだったので)。
「名著を読む会」のメンバーの皆さんとじっくりとポーターについて研究してみたいと思います。

追伸
この本は前半が『競争の戦略』と重複します。映画でPart2を上映する時、最初の10分くらいがPart1のダイジェスト的な内容になることがありますよね。あれといっしょです。
ですから、『競争優位の戦略』を読めば『競争の戦略』の勉強もできてしまうわけです。
中古価格でもまだまだ高い2冊ですが、そういうわけで一冊だけ購入されるなら『競争優位の戦略』がお勧めです。