断続のマネジメントを用いた従業員の能力開発の具体的な方法の1つに失敗しにくい現場での勉強法があります。
新任マネジャーの皆さんの多くが、「人事部や事業部主催の公式の研修ではなく、手作りでできる現場ならではの実践的な勉強会を開催したい」という強い想いを持っています。
ある企業のシステム部門では、週に1回程度、新任のマネジャーが毎回、テーマを決めて(【例】SEのための財務会計、SEのための管理会計)、手作りの教材で部下や後輩の指導に当たっています。研修時間は毎回2時間程度ですから、下準備や教材作成にも相当な時間を要しています。この企業の場合、相当に教える力や教材作成力がありますから、今のところ問題はありませんが、なかなか誰もが真似できる方法ではありません。
ある金融機関では、審査部門が中心となって、希望者向けに金融に関する週末勉強会を隔週でスタートしました。半年間継続する勉強会でしたが、毎回、教材作成が深夜までかかり、担当する審査部員メンバーの負担を考慮し、翌年は開催回数を半分にしたという事例もあります。
しかし、あまりにも、マネジャーの負担が大きくなるとせっかくスタートした勉強会も長続きしません。
長続きさせるためには、次のような方法を採用してみましょう。
① チーム分けの実施
はじめに、職場のメンバーを先輩(上司・ベテラン)チーム、後輩(部下・若手)チームに別れます。両者に属する中間メンバーがいても構いません。
② 後輩チームによる教わりたい内容の列挙
後輩チームは、付箋紙などを利用して、先輩チームから教えてほしいテーマ(項目)を列挙します。スーパーマーケットであれば、「最近のレトルト食品の動向について知りたい」「クレーム客への対応法の基本を知りたい」など、1枚の付箋紙に1つのテーマ(項目)を列挙します。記名だと聞きにくいようであれば(【例】名前を出すと恥ずかしい 等)、無記名でテーマ(項目)だけを列挙してもらっても構いません。
③ 先輩チームによる教えられる内容の列挙
一方、先輩チームは、自分たちが後輩に教えることができるテーマ(項目)を列挙します。原則として、先輩チームは、テーマ(項目)だけではなく、自分の氏名と研修に要する時間を併記します。「誰がどれくらいの時間をかけて教えることができるか」を明らかにするためです。
④ 責任者によるマッチング分析作業
責任者(マネジャー・課長・係長・主任等)は、両チームの結果を集め、両者のマッチングを考えます。お見合いの組み合わせ探しのような作業です。「後輩チーム10人中5人は、「クレーム客への対応法の基本を知りたい」と書いていて、一方、先輩チームの中で「クレーム客への対応について教えられる」という者が1人以上いれば、早い段階で現場での勉強会を実施することができます。
同様に、教わりたい内容と教えられる内容の間でマッチングが成立すれば、各々が現場勉強会の開催テーマとなります。
<次回に続く>